アンダーグラウンド風俗業界を描く、異色のエロティックサスペンス!
今回はChrista FaustとPriscilla Petraitesによる異色エロティックサスペンス作品『Hit Me』。
2022年にAWA Studiosから全5話で出版され、TPB1巻にまとめられています。
AWA(Artists, Writers & Artisans) Studios作品について紹介せねば、とバタバタやってて、とりあえずまずという感じで選んだのがこの『Hit Me』。
AWA Studiosについては後程詳しく書くが、2018年設立で有名作家によるオリジナル作品を多数出版しているところ。やっぱり特筆すべきは、Comixology Originals同様、ちょっとさすがに全部調べたわけではないのだが、多分全部ぐらいKindle Unlimitedで気軽に手に取れるというところ。
で、このChrista Faustだが、主にゼロ年台頃に活躍し、えーと結局読めていなかったりするのだが、ハードボイルド廃人としては名前を記憶しているぐらいの女性クライム作家。タッグを組むPriscilla Petraitesも同じく女性で、ブラジル出身の気鋭のアーティスト。
主人公のLuluは、M -マゾヒストの個人営業のコールガール。
うーん、どこまで一般常識なのか?とハタと考えてしまったのだが、日本のエロ漫画やそちら方面では、特にMの女性というとその性的指向からそれが快感であるという理由を持って、隷属させられ、性具として使役される感じに描かれるのが常。まあそれが常という認識ない人もいるだろうけど、そうなっています。
ところがこの作品では、痛みを快感として受け止められるがゆえに、どれだけ打たれても絶対に折れないタフな女性として描かれている。
前書きに書かれているのだが、この作者Christa Faustは、実際にそういう業界で働いていた人で、自身の経験によりそういう思い込みからの線引きを明確に主張している。1969年生まれということで、さすがにそっちの現役からは引退していると思うのだが、実際にその現場を見て来た人で、その方面のこともかなりディープに描かれて行く。
タフなM嬢がアンダーグラウンドを疾走する、異色エロティックサスペンス『Hit Me』!
Hit Me
キャラクター
-
Lulu:
個人営業のMプレイ専門のコールガール。 -
Danny:
Lulu専属のボディーガード。 -
Gordon Mann:
カジノホテルを経営する地元の犯罪組織のボス。 -
Mr.Tak:
Luluの得意客の素性不明のギャンブラー。
Story
#1
肩に残る大きな手型の痣。
自宅のバスルームの鏡で、自身の身体の状態を点検するLulu。その横腹、太ももにも同様の手形の痣。手首、足首には縛られた跡の痣。
[ スパンキングは格安。あなたがあたしの顔を叩きたいなら、50ドル以上 ]
鏡に映ったLuluの右眼の周りに痣。
[ 拳を使いたいなら100ドル。跡が残ることについては勘定に入ってないわ ]
シャワーを浴びるLulu。その身体に残る多数の痣。
[ 身体の服で隠せる部分については均一価格。顔、首、腕については倍額。あたしが言ってる跡というのは、痣、打撲傷、血腫、火傷、切り傷、ミミズ腫れ、縛り跡、その他の事。治癒に6時間以上かかる見える怪我の事 ]
ファンデーションで目の周り、肩などの痣を覆うLUlu。
[ あなたが料金以上のことを試みるなら、あたしの番犬が現れて、同意のない行為の役割逆転を行うわよ。それが嫌なら流行りのナイトクラブで幸運を試すことね。結論を言えば、あなたが得られるのは支払ったものということ ]
『Hit Me』より 画:Priscilla Petraites
ここで彼女の”番犬”Dannyが紹介される。
広さはあるが、かなり荒れた建物の中のワンフロア。逞しい青年がサンドバッグを拳で打っている。
DannyがLuluに想いを寄せていることは、彼女も気付いてはいるが、自分の仕事のため、今はその想いからは距離を置いている。
Dannyから自己防衛のための護身術も教わっているLulu。訓練の後、今日の仕事について話す。
「それで?今夜のスケジュールは誰だ?」
「Mr.Takだけよ」
「またか?あいつは月一以上だったことないだろ?」
「今日の夜中に重要な仕事の打ち合わせがあるんだって。その前に少し息抜きしときたいって話よ」Luluは続ける。「Diamond Dustで会いたいと言ってるわ」
「またやるには少し早いのがわかってるか?ヤバいセッションなんだろ」「報酬もヤバいのよ」
「あんたあたしのマゾヒスティック・スーパーパワーを疑ってんじゃないの?」
「そういうわけじゃないさ。俺はただお前が充分休んでないことを心配してるだけさ」
「あんたの小っちゃい頭を悩ませる必要ないわよ」
「お前のやることに口出しするつもりはないよ、Lulu。俺はただ…」
「亭主っぽい雑音はやめなって」荷物をまとめて出口へ向かいながら言うLulu。「大丈夫だよ。心配ならMannのセキュリティルームから見張れるように段取り付けるからさ」
「任せとけよ」
フラットから出て行くLulu。
夜。予定のカジノホテルDiamond Dustへ向かうLulu。
Diamond Dustは、地元の顔役であるGordon Mannがここを買い取る以前からある。かつてはこのパッとしない地区の豪華な宮殿だったが、今やって来るのは足を棺桶に突っ込み、片手をスロットマシンに掛けた年寄りばかりだ。
酔いつぶれバーに突っ伏した太った中年女。その横のスツールに座り、周囲を窺う若い男。
[ あの坊やは大間違いをしでかそうとしている ]
男は中年女のウェストポーチからカジノチップを抜き取る。
[ 大通りでならその手のちょろまかしでトンズラできただろうが、ここじゃそうはいかない ]
中年女が起こったことに気付かないうちに、男はカジノの用心棒に引っ立てられて行く。
[ ここにやってくる人たちから盗める者はただ一人 ]
そこに禿げ上がり腹の突き出た小男が両手に美女の腰を抱きながら現れる。Gordon Mann。
[ Gordon Mannはコカインとバイアグラが産み出した毛むくじゃらでハゲの子供みたいなやつ。勝ち組だと思い込んでる負け組。ちっぽけなボウルの中のでかい糞 ]
「調子はどうだい、Lulu?相変わらずの口やかましいアホマンコかよ?」
「ええ、破産訴訟の方はどうなの?6回目?7回目だったかしら?」
Mannは一度だけ彼女の客になったことがある。横暴でルールを守らない振る舞い。その時の嫌な思い出がLuluの脳裏をよぎる。
「二人とも行け。部屋に一時間後に戻って来いよ」カジノチップを渡し、女たちを追い払うMann。
[ 死と税金、このクズ野郎。世の中にはどうしたって変わらないものがある ]
『Hit Me』より 画:Priscilla Petraites
「彼氏とは最近会ってるのかよ?」
「彼氏は大勢いるのよ。もうちょっと特定してくれないかしら」
「チンク野郎さ」
「彼のことをそんな風に呼ぶのはやめてくれないかしら。何にしてもDannyはあたしの彼氏じゃないわ」
「お前の擁護っぷりからそうは思えねえがな。結局チンポのデカさについて巷で言われてんのは出鱈目らしいが、ええ?」
「何にしろ、俺が話してんのはあいつのことじゃねえ。Takのことだ」
「Tak?会ってないけど、なぜ?」
「特に理由はねえ」
「お前はもっと上のクラスの彼氏を見つけるべきだと思うがね。お前みたいなのをちゃんと面倒見れる誰かさんを」
「寝惚けてなさいよ、Gordon。あたしは自分の面倒ぐらい見れるわ」
監視カメラからのモニター映像の中を横切るLulu。
並ぶ監視カメラからの映像。その中には、客室内、トイレの中を映しているものまである。
監視カメラからのモニター室の前に立つ警備の男に、色仕掛けで取り入るLulu。
こうして彼女はモニター室への鍵を手に入れる。
カジノの前、運転手付きの車から30代前後と思しき東洋系の男が降り立つ。Mr.Tak。その手はギャンブラーを気どり、常にカードをシャッフルしている。
カジノに入って来たTakを、モニター室から監視するLulu。
[ あたしはMr.Takが本名じゃないことは、ほぼ確信してる。でもそれがあたしにそう呼ぶように告げた名前。気にする必要ある?汚いクソ娼婦があたしの本名じゃないのとおんなじことよ ]
[ 今夜、何かおかしいことに、彼がカジノに入って来てすぐに気付いた。落ち着かず、目があちこちを彷徨う ]
[ 両手のカード遊びはぎこちなく、ジャケットの内ポケットに入れた何かを始終触り続けている ]
内心では心配を抱えつつ、横のDannyに大丈夫とサインを送るLulu。
[ あたしは何かが起こってることを知るべきだったと思う。でも相手はMr.Takだ。あたしが出張サービスを行う唯一の客。あたしは彼を信頼していて、少々の好意さえ持っていた ]
[ あたしを痛めつけるために金を払う相手に対しては、可能な限りで ]
コートを脱ぎ、モニター室内でセッションの準備を始めるLulu。
モニタースクリーンで、Takが指定された部屋に入って行くのを確認する。「ほら、問題ないわ」
帰りにあたしの奢りでAbe’sで牡蠣を食べましょうと告げ、後はDannyに任せ、モニター室を出るLulu。
[ もちろんあたしは間違ってた。問題ないどころではなく、牡蠣も食べられなかった。事態はあまりに早く動き、いまだに正確にはどうだったのかも把握できてはいない ]
モニター室の並んだスクリーンを見つめるDanny。
エレベーターの中のLulu。
その時、Luluが向かっているMr.Takの部屋に一人の男が入って行くのに気付く。
室内を映すスクリーン。入って来た男がTakの胸倉を掴み、脅している?
モニター室から駆け出すDanny。
Mr.Takの部屋に入って来るLulu。
部屋の中では見知らぬ男がTakに向かって銃を突き付けていた。
[ あたしがホテルの部屋に入ったとき、Mr.Takはひとりじゃなかった。他の男がいて、そいつは銃を持っていた。それがあたしがその男について憶えている唯一のこと ]
[ そしていくつかのことが同時に起こった ]
「クソくらえ」Takは言い、左手でポケットから何かを取り出し、右手で背に隠していた銃を抜く。
入り口ドアからDannyが銃を手に駆け込んできて叫ぶ。「手を見えるところから動かすな!」
「何だ…?」男が振り抜く。その隙にTakが、狙いも曖昧なまま銃を撃つ。
連続して撃ち返す男。Takは頭を撃ち抜かれる。
[ あたしが床に倒れた時、一発の銃弾が最終目的地に向かう道すがら、あたしの左肩にキスして行った ]
床に伏せるLuluの上を銃弾が飛び交う。
[ 痛かったけど、悲鳴は上げなかった。あたしはお客からの要望がない限り、絶対に悲鳴は上げない ]
『Hit Me』より 画:Priscilla Petraites
飛び交う複数の銃声。何かが壊れる音。
そして静寂。
[ 何も起こらなくなって数分後、あたしは指の間からあたりを見回した ]
[ Dannyは撃たれていた。痛みに顔をしかめながら、太ももの銃創を押さえていた。Mr.Takは死亡。銃を持っていた男は既にそれを手放していた ]
[ 男は床に倒れ、Mr.Takが落としたベルベットのポーチに手を伸ばしていた。あなたが思うほど床は血まみれじゃなかったわ ]
這って行きポーチに手を伸ばすLulu。「Lulu?大丈夫か?うう…」Dannyが声を掛ける。
ポーチを掴むlulu。「血が出てるぞ、Lulu?」
ポーチの中身を手のひらに開け、驚愕するLulu。
手の上には大小の未加工のダイアモンド。100万ドル以上になる、とLuluは思う。
「Lulu、応えてくれよ。俺はここから逃げなきゃならない」
ポーチの中にダイアモンドを戻すLulu。
[ もちろん、あたしはそれをいただいた。見たところ、それはあたしの報酬だ ]
「その手のご亭主トークについて話さなかった?あたしは大丈夫」歩み寄りながら言うLulu。
足を撃たれたDannyは立ち上がれない。「お前が大丈夫なのは分かるけど、怪我したんじゃないのか?」
「あたしの手に負えないことはないわ」Luluは言う。「あなたは、何にしても、助けが必要なようね」
LuluはDannyに肩を貸し、ホテルの部屋を出て行く。
[ ここで起きたことを奇妙に思わなかったかって?もちろん思ったわ ]
[ ここに残って事情を探ってみたかって?そんなわけない ]
途中で会った掃除夫を誤魔化し、従業員通路から外の駐車場に出た二人。
「まだ気絶しないでよ、兵隊さん。手当てできるところに行くから」
「病院は駄目だ…」
そしてLuluの運転で、車は走り出す。「誰が病院の話なんてした?」
#2
LuluはDannyを知り合いのMistress Demonicaの店へ連れて行く。Demonicaは医療SMプレイ専門の娼婦だが、実際の医療技術も持っている。
『Hit Me』より 画:Priscilla Petraites
弾丸を摘出し、傷の処置も済ませ、一旦はDominicaの店に落ち着く二人。
だが、Dominicaの裏切りにより、店には襲撃者が現れる。Dannyが敵を引き留めている間に窓から外へ逃げるLulu。だがその時に連続する銃声。窓から中を覗いたLuluは、床に倒れて動かなくなったDannyの姿を目撃する。
泣きながら車を走らせるLulu。その時、ポケベルに呼び出しの通信が入る。
表示された番号に公衆電話から掛けると、電話を取ったのはGordon Mannだった。襲撃者たちはMannの部下で、実はまだ生きていたDannyを捕まえているという。「逃げろ、Lulu!」電話の向こうで叫ぶDanny。
「こいつを切り刻まれたくなかったら、24時間以内にダイアモンドを持って来い」
ちょっと説明がなかったか、自分の不注意で見落としてるのかもしれんが、通信手段がポケベル、公衆電話というところを見ると、この作品の時代設定は1990年代頃なのだろう。こっちが把握できないだけで、そっちで暮らす人ならすぐにわかるような時代風俗的なものも描かれてるのかも。もしかすると作者Christa Faustがその業界にいた時期なのかもしれない。
物語はここからLuluがDannyを無事に取り戻すため、アンダーグラウンドを奔走するという展開になって行く。
情報を得るため、屍体プレイに執着する鑑識解剖医、ストリートの娼婦、スパンキングで興奮する刑事などを渡り歩き、あるコネクションに接触するため、整形身体改造を繰り返しもはや元が男だったのか女だったのかもわからなくなっている怪人に皮膚にフックを掛けられ宙吊りにされるなど、ディープなアンダーグラウンドSMワールドが展開して行く。
どんなに打たれ、痛めつけられても進み続ける不屈のマゾヒスト、Luluの死闘に刮目せよ!
AWA Studiosについて
作者チームの紹介に先立ち、まずAWAの方をやっておこう。
AWA(Artists, Writers & Artisans) Studiosは2018年、マーベルにいたAxel AlonsoとBill Jemasに、FandoのJonathan F Millerを加えて設立されたコミックのパブリッシャー。会社名の通り、クリエイターを前に押し出したコミック制作・出版のためのパブリッシャーで、クリエイティブ・カウンシルには、ガース・エニス、グレッグ・ハーウィッツらの作家も参加している。
当方に関しては、AWAについては以前のDSTLRYほど全く知らなかったというわけではなかったのだけど、結局あまりちゃんと把握してなかったぐらいのもんで、なんかアメリカのAmazonでTitan/Hard Case Crime Comics作品を見ていたところ、たまたま読者層が重なるこの『Hit Me』とストーリー:ジェイソン・スターの『Casual Fling』が引っ掛かり、現在こうなってるんだとやっと気づき、こっちでちゃんと紹介して行かなければとなった次第。
実は先に読んだのは、ジェイソン・スターの『Casual Fling』の方。
法律関連の会社で、幹部に手が届くところまで登っている妻と、ウェブプログラマーとして自宅で二人の子供の面倒や家事を担当する主夫の夫という夫婦が主人公。妻が仕事関係で知り合った魅力的な男性と一度だけの関係と思い不倫をしてしまうが、その男は実は彼女のようなキャリアを持った女性を破滅させることに歓びを感じる犯罪者だった。仕事も家庭もすべてが崩壊に瀕する中、妻の裏切りに怒りつつも、卑劣な犯人に更に怒りを燃やす夫の協力で、闇に潜む犯人は少しずつあぶり出されて行く。
結局まだ2作しか読めてないのだけど、そちらでも見られた都市で生活する割と普通の人の生活から犯罪方向に向かう、ジェイソン・スターの多分作風に沿った感じの作品で、悪くはないのだけど、「エロチック・サスペンス」として紹介するにはいまいち主にビジュアル的にインパクトが欠けた…。
画的な上手い下手とかいう問題ではなく、結局ストーリー展開も含めた部分での見せ方ということではないかと思う。なんかそういう方面では長けた日本のマンガを見過ぎたせいということかもしれないけど。まあ映画とかなら一回脱いで、セックスがらみの話というところで充分「エロティック・サスペンス」成立してんのかもしれないし。
そもそもこれと今回の『Hit Me』の2作を発見した時点で、カバー的には『Hit Me』の方に惹かれてはいたんだけど、本店の方でも何とかしなくてはと思いつつ、なかなか届かないジェイソン・スター作品を紹介できるということでこちらを先に読んでしまったのだが、結局『Hit Me』になったのはこういう経緯のためです。
ただ、ここで紹介するには、うーん…ぐらいのもので、作品的には悪くないので、そちらもKindle Unlimitedで読めるので、興味を持った人は読んでみてください。
さて、AWA Studiosについてなのだが、この他にもピーター・ミリガン、ヴィクター・ギシュラー、グレッグ・ハーウィッツを始めとして、思い出せないのやら把握できてない多くの作家の作品が出ており、アーティストについてはほとんど把握できていないような状況で、とにかくできるだけ多く紹介して行かなければというところ。なんだが、少しちゃんと調べるまでこいつの存在に気が付かなかった!ガース・エニス!
いや、ガース・エニスの新作でKindle Unlimitedで読めるようなのがあるの気付いてたなら、まずこっちからやったのだけど…。
ガース・エニスについては、自分的にはただ好き以上の作家で、何とかこっちでも作品を紹介せねばと思いつつ、サイト全体のことを考えてまずあれとかこれとかやらなければみたいな部分で、延々後回しになってて…。Avatar Pressの超お下劣コメディアクション『Dicks』とかから始めようかと常々思ってたのだけど。
ガース・エニス、AWA Studiosと重なったところで、こちらの『Marjorie Finnegan, Temporal Criminal』から、なるべく早期に、近日中に紹介の予定ですので、ご期待ください。というか今すぐ読んじゃえば?
作者について
■Christa Faust
1969年、ニューヨーク生まれ。1998年に小説『Control Freak』でデビュー。2000年代には、ノベライゼーションの仕事なども行いながら、2008年には『Money Shot』でCrimespree Awardを受賞した他、エドガー、アンソニー、バリー各賞にもノミネートされる。しかし、その後2012年までに3作を出版したところで、オリジナル作品の出版が止まり、翌年までに数作のノベライゼーションを出し、創作活動はストップしていた模様。
だが、2016~17年、クライム作家Gary Phillipsとの共作でTitan/Hard Case Crime Comicsからの『Peepland』のストーリーを担当し、作家活動に復帰。その後2018年には同じくPhillipsとの共作で『Batman: The Killing Joke』のノベライゼーションを著している。その後はAWA Studiosからコミック作品『Bad Mother』(2020)、『Redemption』(2021)、そしてこの『Hit Me』(2022)へと続く。その一方で、絶版となっていた過去作品もHard Case Crimeより再版され、今年3月には新作『The Get Off』が出版される。これは『Money Shot』から始まるAngel Dareシリーズの15年ぶりの最終作ということらしい。
下のリストには、コミック作品の他には、現在Kindle版で入手可能な小説作品を並べておいたが、そちらの方興味ある人もいるかもしれんので、プリント版のみの『Batman: The Killing Joke』も追加しといたので。
■Priscilla Petraites
ブラジル出身の女性アーティスト。「出身」というか現在もそちら在住でそっちを基盤に活動している模様。前もブラジル出身アーティストについて書いたと思うけど、結構そっちの方増えてるのかも。ただ、多分そちらでの前歴とかもあるはずなのだが、その辺が全然見えないのが残念。
2017年にAftershock Comics『Brilliant Trash』にて、とにかくアメリカではデビュー。DC New Talent Workshopを経た後、Image Comics『Rat Queens』の最近の方の作画を担当。ごめん、『Rat Queens』ちゃんと説明すると相当長くなるんで…。とにかくImage/Shadowlineで結構長く続いてる人気シリーズ。
AWA StudiosではBryan Edward Hillの『Chariot』(2021)が先か。そしてこの『Hit Me』を経て、最新作は2023年、Sarah Choの『Red Light』。
先にDC New Talent Workshopというのが出てきてるんだが、とりあえず今のところはDCではアンソロジー参加作品ぐらいみたい。ちょっと紹介した画でわかるように、まあマーベルDCの女性ヒーロー作品とかで、トップアーティストになれるぐらいのポテンシャルを持ったアーティスト。結構ビッグネームになるかもよ。
■Marco Lesko
カラーリスト。出身国などの情報なしなんだが、Titan Comics作品を多く手掛けているので英国出身かも。
『Rat Queens』のカラーも担当していたので、Priscilla Petraitesの伝手でAWA Studiosに来たのかも。AWA Studios作品を多く手掛けているようなので、また名前も出てくると思います。いつもながらカラーリスト情報少なくてごめん。
2025年最初が2月になってしまいました…。えーと、まあ同時進行でやってる『Scalped』の方に時間がかかったり、2月14日の本店11周年のためのスケジュール調整などあったんだけど、結局一番大きいのはとにかく寒さに弱く、1月半ばぐらいまで午前中というのがほとんど機能しない状態だったのが大きいかと…。なんか気温何度か以下になると全体的に活動能力低下し、その気温環境に適応するまでしばらくかかるという感じの。何とか持ち直してきたので、ここからちょっとぶつぶつ言ってると書かねばならない作品が10個ぐらい増えてく状況に向けて頑張って、なるべく多くの作品を紹介できるよう努めます。
Hit Me / Christa Faust + Priscilla Petraites
■Hit Me
●Christa Faust / Novels
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