The Invisibles 第3回 / Grant Morrison 【後編】

Invisiblesの敵とは何者なのか?最重要人物Sir Milesと、ある末端兵士の生涯。

グラント・モリソンの代表作である『The Invisibles』(1996~2000)の第3回、後編です。今回はアーティストがそれぞれに交代するので、そっちの方は各話毎に。

なんかなし崩しに2回に分けたんで、ちょいまごついてる。ごめん。下の本文サブタイトルも、TPB第2巻『Vol. 2: Apocalipstick』の前半4話なんで(前編)と入れて、更にそれを二つに分けたんで(-2)とかなってたり。さらにその下に『The Invisibles』全体では第1部の中の話なんで、そこで第1部と入れたり。なんか同じ形にして続けて行くとうまく行かん時もあるのだと勘弁してください。
今後のストーリーで多く登場してくることとなる、Invisiblesメンバー、ブードゥーの怪人Jim Crowが紹介された第10話に続き、ここでInvisiblesの敵の最重要幹部である、英国貴族Sir Milesが登場。更にモリソンの意欲作である無名兵士を描いた異色のワンショット『Best Man Fall』。今回も注釈必要の時は山盛りになる感じで進めて行きます。

The Invisibles 第3回 Apocalipstick (前編-2)

第1部
■#11 Royal Monsters / 画:John Ridgway

●キャラクター

  • Sutton:
    Sir Milesの屋敷にある目的を持って使用人として潜入しているInvisiblesのメンバー。

  • Sir Miles:
    英国貴族。Invisiblesの敵の重要人物。

  • Moonchild:
    Sir Milesの屋敷地下の鏡の奥に棲む怪物。

  • Kate:
    Sir Milesの”狩り”のために攫われて来た少女。Suttonの娘。

  • Tarquin:
    Sir Milesが預かっている有力者の息子。

●Story

この話では、Invisiblesの敵方、Sir Milesに焦点があてられる。第2話でDaneが路上生活をしていたロンドンの街中で、キツネ狩りの格好でホームレスの少年少女を狩っていた一団の首魁。(The Invisibles 第1回 参照のこと)
Sir Milesはシリーズ最後ぐらいまで登場することになる重要キャラクター。
この話は、Sir Milesの屋敷に使用人として潜伏するInvisiblesの一員であるSuttonという人物の視点で語られる。
作画はJohn Ridgway。こちらも英国コミックの巨匠。初期の『Hellblazer』などでも有名。

私は肉について尋ねたことはない。

死体は朧気に認識でき、それらは何かであろうと推測できるが、私は決して問うことはない。

石造りの地下室のような場所で、石の床に描かれたペンタグラムの中央に置かれた、頭と手足を落とされた人間の胴体らしきものの前に、肉切り包丁を持って立つ男。

ここでは疑問が問われることはない。それはこのある場所について知る上で重要なことだ。

大型のクローシュが被せられた給仕用カートを押し、屋敷内の廊下を進む使用人の男、Sutton。

一日3回、毎日、私はあの部屋へとカートを押して行く。他の者がこの仕事をやることはないだろう。

私はここに6年いる。6年経ってもいまだにこのドアを開けるときには首の後ろの毛が逆立つ気分がする。紫外線に照らされる中、そこは部屋の幽霊のように見える。

カートを一旦置き、白く強い光が差し込む部屋のドアを開くSutton。

鍵はプリズムで、プリズムが鍵。私にはよくわからない。いかにして正しい角度でそれを向けるかを教えられた。五つの違った手の動きがある。

壁の巨大な鏡に向かって、両手で持ったプリズムをかざすSutton。鏡の表面にさざ波のような波紋が浮かんでくる。

この特定の光の屈折の組み合わせにより、五つのさざ波の起点が現れ、私の理解が及ぶところでは、パターンの干渉の結果として、鏡は開かれる。

実際のところ、私はその仕組みについては理解していない。

鏡の表面に黒い渦が巻き起こり、Suttonはその前にカートを運んで行く。

私はいつもコクトーの映画を思い起こす。それは最初は非常に美しい。ガラスの表面が輝き始め、やがて脈打つ。ビーズのヴェールのように、雨粒が落ちるように。

そして、音が始まる。醜く、粗野な手でヴェールは引き裂かれて行く。

鏡の中からの赤いフィルターをかけられた魚眼レンズのような視点。前にクローシュが乗せられたカートがあり、その後ろにSuttonが立っている。

そして美女は野獣へと変わる。

鏡の中からその表面を抜けて出てくる、人の形をしているが明らかに人ではない何者か。中世の修道僧のような足首まで覆うガウンを纏い、そのフードに隠れた闇の中で、口からよだれを垂らし、目が一つだけ鈍く光る。

『The Invisibles Vol. 2: Apocalipstick』より 画:John Ridgway

悪臭は凄まじく、鏡の扉の向こうからはノイズが響いて来る。容赦のない交唱が衝突し、轟音を上げる。私には苦しみもだえる女が恐ろしい機械により出産しているようなイメージが浮かぶ。

地獄の合唱隊はこんな風に聞こえるのだろう。

私はその世界がどんな風であるか、あえて考えるようなことはしない。鏡の裏側の世界が。

いや、私はあえてそうする。私は時々、アリスのようにそこを踏み越えれば何が待っているのだろうと想像する。

鏡から出て来た何者かは、置かれた肉にその手を掛ける。それを見つめるSutton。

それは常に同じ行動を取る。死体に覆いかぶさり、ある種の泡を吹きだす。肉を柔らかくし、部分的に溶かす腐食性の泡だ。

床に降ろされた死体にかがみこみ、口から出した泡をかける何者か。泡がかかった部分からは腐食に伴うガスが立ち昇る。

言ったように、あえてここに入るのは私ただ一人だ。他の誰もが怖れている。

私は恐怖と畏怖の違いは分かっている。

死体を引き摺り、鏡に戻って行く何者か。立ったまま動かず、それを見送るSutton。

鏡の中へと戻って行く何者かは、そこで一旦振り返り、Suttonを見る。

それは今日は、もう一度私を見た。我々の間で何かが交わされた。一つの理解か、ある種の承認か。

私はそれが私に好意を持っているのではないかと、考え始めている。

死体が引き摺られた後の床を、モップで掃除するSutton。

ここで登場する鏡の中から出て来た謎の存在は、Moonchildと呼ばれるもので、敵の組織の重要な存在として後にまた出てくることとなる。
モデルとなっているのは『グラームスの怪物』というイギリスの19世紀からの伝承というか怪談話的なもので、19世紀に貴族の子息として生まれたThomas Lyon-Bowesは「半分カエル、半分人間」といわれるような奇怪な姿で産まれたため、世間的には死産とされて、スコットランドのアンガスにあるグラミス城に隠されて育てられたという噂となったというものらしい。
また、この作品で何かとそちらと繋げられることも多いクトゥルフ神話では、鏡の中に住んでいる怪物といえば、有名なショゴスだったりもする。

森の中の道を走るロールスロイス。少し離れてトラックがついてきている。
車内からの声。「昨夜の私の誕生パーティーのことだ。醜悪なケーキの蝋燭を吹き消す時、私は一つ願いを上げたよ、Tarquin」
「私が何を願ったか、わかるかね?」

ロールスロイスの車内。ゴブレットを片手に持った初老の男、Sir Milesと、若い男Tarquinが、後部座席に並んで座っている。
Sir Milesの話は続く。「私の願いとは、ごく近いある日に、あらゆるものから遠く隔てられた静かな地下室で、片手には開かれた剃刀、もう一方の手にはブロートーチを持ち、椅子に縛られたKing Mobを目の前にしている自身を見つけることだ」
「Harmony Houseは破壊され、多数の人員が殺害された。そして今度はあの直近のOrlandoが関わる大失敗だ」
「そして奴らはあのMcGowanも我々に先んじて手に入れた。下衆どもめ!」

「でも、貴方は連中はブヨだと仰っていたじゃないですか、Sir Miles」Tarquinは言う。
「私は明確に憶えております。貴方は連中は象を刺そうとしているブヨに過ぎないと…」
「私が一度言ったことを思い出させるのは止め給え、Tarquin。まったく!」Sir Milesは苛立たしげに言う。
「Invisiblesなど重要ではない。この週末、来たる戴冠式の後では。世界は全く違った場所となるのだ」
「ブヨなどの居場所はなくなるのだ」
そしてロールスロイスとトラックは、目的地へ到着する。

少し前のことなので確認。Harmony Houseは#1でDaneが入れられた矯正施設の名前。またあんまりフルネーム呼ばれることないので、自分も忘れてたがMcGowanはDaneの姓。敵の組織もDaneをランダムな不良少年の一人としてではなく、その能力に目を付け狙って獲得しようとしていたことがわかる。

ロールスロイスとトラックは森の中の開けた土地に停められる。
「息抜き。つまりそういうことだ、Tarquin」Sir Milesは言う。「このように精気を高揚させる週末は、この国では他にないだろう」
「貧困について神に感謝だ。私はそう言うよ」車から降りながらSir Milesは言う。
「あれらのけだものを街中で狩るのは特別な興奮があるが、私にとっては猟犬を伴うものには替え難いからな」
トラックの背後には二人の銃を持つ男たちが立ち、荷台のシャッターが開けられようとしている。

シャッターが開けられたトラックの荷台の中。Sir Milesたちがロンドンの市街地で狩ってきた、みすぼらしい身なりのホームレスたちが閉じ込められている。
「そこから降りろ!出て来い!」銃を持った男が声高に命令する。
荷台から降り、トラックの後ろに並ぶホームレスたち。
「活きがいいようだな!」銃を構えた男が言う。
「おや!なんともみすぼらしい試供品ですな!」Tarquinが言う。
「このような放置と欠乏を目にするのは心が痛むな」Sir Milesが言う。
「私は少々の働きかけをして、この国の失業者を少々減らす助けをしようと考えておるんだ」

グラームスの怪物に関する伝説は、多数存在する。ストラスモア伯爵、その相続人、そして係累のみがその秘密を知ると言われている。

スコットランド、アンガス州にあるグラームス城。

秘密の部屋を探すための試みとして、既知の全ての窓にタオルがかけられている。言われるところによれば、そこには…、ストラスモア一族の時代に生まれた、あるヴァンパイアモンスターが完全に隔離された状態で生き続けているということである。

各窓にかけられたタオルが、風で不気味にはためくグラームス城の外観。

真実はどうあれ、15世紀初頭、クイーン・エリザベス2世の曽祖父はこう言ったと伝えられている。「もしそなたが秘密の本質を知ることになったなら、そなたは跪き、それが自身のものでなかったことを神に感謝するであろう」

謎の答えに最も近付いた者達、例えば改装工事のさなかに煉瓦で塞がれた扉を見つけた労働者などは、他国へ移住するための多額の報酬が支払われたと噂されている。

中を窺い知ることができないグラームス城の窓の一つ。

ハリファックス子爵は著書「Ghost Book」の中で、使用人からの全体をという注文により、石炭店により施工されたある部屋部屋で、どのように鉄の格子が石壁に固定されているかの詳細を、魅惑的に記述している。

鉄の格子で壁が覆われた通路に佇む黒い何者かの姿。

更にある大司教の妻の、閉ざされた扉の先の青い部屋についての夢、ブレチンの学部長とパースの学長による目撃:そしてオークルームにおける家政婦による他の姿の目撃。

より最近では、女王の母の姉妹であるLady Elphinstonが若い頃、Duncanが殺害されたと言われている部屋で、不吉な雰囲気に非常に怯えさせられたことを憶えていたと伝えられている。

葉を落とした数本の木が生える小さな丘。そこに集まっているように枝の間から見える複数の謎の光。

グラームスは、妖精領域の中心なのかもしれない…。

Antony D. Hippisley Coxe 『Haunted Britain』より

こちらは前述の『グラームスの怪物』についての1973年出版のAntony D. Hippisley Coxe著『Haunted Britain』からの引用。多分翻訳されたことはなく、本国版も過去のプリント版のみしかない状態の様子。引用なのでコピーライトなんかもちゃんと入ってるんだが…、モリソン先生…、名前間違ってます。AnthonyじゃなくてAntony。
またさらにその中で言及されている第2代ハリファックス子爵(チャールズ・ウッド)による1930年出版の『Ghost Book』は、Internet Archiveでも読むことができるようです。
Lord Halifax`s Ghost Book / Internet Archive

テーブルに置かれた高級デキャンタ。二人の男の話し声。
「私は彼女が間違いなのは最初から分かってたんだ、だからといって何ができる?今の時代にダイアナという名前の、適した処女を見つけるのがどんなに困難かわかるかね?」
「彼女には資質が欠けていたのだよ、Willie。血統がそこにはなかった」

Sir Milesの邸宅の客間。暖炉が燃える前で、MilesとWillieと呼ばれた人物がデキャンタが置かれたテーブルをはさみ、それぞれゴブレットを手に向かい合ってソファに座っている。その後ろではTarquinがMilesの銃器コレクションを見ている。
「彼女は神話上のダイアナを象徴していると思われていたんだ、わかるだろう。月の女神、狩猟の処女神。しかしながら、肝心の概念が彼女の限られた理解力を超えていたのだよ」Sir Milesは言う。
「彼女の初子はずっとMoonChildだった。新たなイギリスの影の王の具現、暗黒の千年紀の恐怖の救世主」
「あらゆる女性への特権だよ、Miles」Willieは言う。

「何とも驚異的な銃のコレクションをお持ちなのですな」コレクションの一つのクラシックな銃を手に言うTarquin。
「そんなもので遊ぶのはやめ給え、Tarquin。それは装填されておるのだぞ」Milesは言う。
「Tarquinについては容赦いただきたい、Willie。その存在そのもので、彼はダーウィンの進化論を愚弄しておる。だが私は、彼の父親に向けた好意として彼を雇わねばならなかったのだよ」
「何にしてもだ、それら全てを除外しても、現時点で王室は終わっておる。それは明らかだ。我々は子供たちが成長し、繁殖するのを待ってはいられない。ゆえに我々は非常事態対応の行動を取る決定をせねばならんのだ」
「そしてそこで、その…、家族の秘密が出てくるわけかね?それが遂に古の場から出されることについては喜ぶべきだと言いたいがね。おそらく、一旦それが明るみに出れば、他の全てのポルターガイスト活動は停止するだろう。天上の窓の頂点で暮らすようなことについて、君はどう考えているのかね?」Willieはデキャンタを手に取りながら言う。
「砦を守る男はどこにいるのだね?」

そこに使用人が新たなデキャンタを盆にのせ運んでくる。「ポートでございます」
「ポートか!できれば私もいただきたい」Tarquinが言う。
「他に何かお入り用でしょうか?」使用人は言う。
「問題ない」Tarquinは言う。「そこにおいてくれれば良い。それだけだ。おそらくは…」
そこでTarquinが持っていた銃が発射される。「うわっ」驚くTarquin。

「なんと」困惑するTarquin。「弾が出てしまった」
「ああ、いい加減にしてくれ、Tarquin」Sir Milesが言う。
「絨毯をどうしてくれるんだ」
Tarquinの前の床には、射殺され血を流す使用人の死体が横たわる。

『The Invisibles Vol. 2: Apocalipstick』より 画:John Ridgway

Moonchildの鏡の部屋のSutton。

私は今日再び試みた。

6年、私はここにいる。何度も機会はあったが、いまだにやることができない。
何が問題なのだ?

部屋の中ではMoonchildが、床に降ろした死体に口からの泡を垂らしている。それを立ったまま見つめるSutton。

6年。それは私がEmmaと別れてからの年月だ。それはKateが去った時。あの最後の電話。”あたしはあんたが嫌いだし、二度と戻ることはないから!”

6年。潜入について話そう。

私がInvisiblesの一人と最後に連絡を取ったのは、2年前の来月だ。

フードの陰で一つ光るMoonchildの目。

私はやり遂げると、彼らに約束した。2年が過ぎ、私はまだここにいる。まだここに。私は使用人でなかったころのことが、ほとんど思い出せなくなっている。

おそらく私はKateのことで自身を罰し続けているのだろう。私にはわからない。多分、Emmaと私はもう少し強く共にいる努力をすべきだったのだろう。おそらく、私はこの怪物を見るとき、単純に私自身同様の捕らえられ、混乱した存在を見ているのだろう。

死体を引き摺り、鏡へと戻って行くMoonchild。

私はこれに同情しているのだ。

私は鏡の遥かに離れた反対側に存在するものだ。我々はそれぞれに同じものなのだ。

俯き、廊下を戻って行くSutton。

神よ我を助けたまえ、だが私には自分の任務を遂行することができない。私は私の残りの人生をここで過ごすことになるだろう。わかっているのだ。私にはできない。

私はあの怪物を殺すことができない。

私はあれに同情している。私はあれが私に好意を持っていると思っている。

銃を手に壁にもたれ、苦悩するSutton。

私はあれを殺せない。

丘を越え、一人の男が息を切らせながら走って来る。
丘の頂上に、彼を追っている一団の姿が小さく見え始める。
草原を抜け、泥を撥ねさせながら必死に逃げる男。馬に乗った追跡者たちによって放たれた、猟犬の群れが男を追う。

「あ奴、一般道に辿り着こうとしておるぞ」狐狩りの装いを纏った、馬上のSir Milesが言う。
「狡猾なものだな、フン?」
犬に追われながら必死に逃げる男の先には、車が走る一般道が見えてくる。

足を滑らせて倒れる男。そこに猟犬たちが襲い掛かる。
「止めてくれ!こいつらを止めてくれ!」猟犬たちに噛まれながら必死に叫ぶ男。
そこにSir Milesが乗った馬が追いつく。「こいつにはいい日じゃないか。どうだ?」
そして手に持った首狩り刀を一気に振り、男の首をはねる。

屋敷内の地下らしい石壁に囲まれた通路で、椅子に腰かけ本を読んでいる使用人の同僚に近付くSutton。
「何を読んでるんだい、Des?」
「ホラーさ。もうすぐ読み終わるところだ」Desと呼ばれた男が、振り向いて答える。「これは狼男に関する類いのやつさ、Jeremy。面白いぞ。こいつは誰が生き残るか本当にわからないって種類の一冊だ」
「フム!こんな場所でホラーが必要なのかね?」Suttonは言う。

Desの座っている通路の先には、鉄格子の嵌まった牢が並んでいる。Desは地下牢の見張り番だった。
「哀れな浮浪者たち。彼らはこんな大勢をどうするつもりなのかね?」
「私の知ったことじゃないさ。私は自分の場所が分かってる。見ざる、聞かざる、言わざる。私は仕事に対して賃金を払われてるだけで、疑問を問うようなことはしない。それが私の考え方だ」Desは言う。
「あの貴族は我々を信頼しているし、我々はその信頼を裏切るべきじゃない」
「考えてみ給え、少なくともこの大勢は、良い食事と寝る場所を与えられている。連中のこれまでの暮らしよりましな」
「彼らは感謝すべきだろう、実際のところ。どこかの店先でのたれ死ぬよりははるかにましだろう」
「私もそうじゃないかと思うよ」通路を歩き、牢を眺めながらSuttonは言う。

牢の中から男たちがSuttonに呼びかける。
「なああんた!頼むよ、これは何なんだ?俺たちは何も悪いことはしてないんだぞ!」
「こんなのは正しくないぞ!あんたらは俺たちをここから出すべきだ!俺たちには電話をする権利があるだろう!」
「すまないが、私にできることはない」Suttonは言う。
「だが俺たちはどうなるんだ?こんなの法に反してるだろう?」
「今朝Andyはどうなったんだ?」

「申し訳ないんだが、私にはわからない。私はただの…」
その時、Suttonは牢の奥に座り込む紫色の髪を立てた少女に気付く。
「Kate?」
名前を呼ばれたことに気付いた少女が鉄格子に歩み寄る。「父さん?あたしの父さんなの?」
「ああ、Kate。なんてことだ。お前なのか。あり得ない…」

「父さん、ここで何してるの?ここは何なの?連中、ただあたしたちを駆り集めてヴァンに乗せただけで」Kateは鉄格子越しに父に向かって言う。
「父さんの仕業なの?ここで何をしてるの?」
「わからないんだ。私はここで何をやってるのか知らない。ああ、Kate。なんてことだ」Suttonは困惑しながら言う。
「お前その髪どうしたんだ?」

ここで出てくるSuttonの娘Kateは、「#2 Down And Out In Heaven And Hell Part.1」でDaneがロンドンの地下道でMad Tomと初めて会ったときにDaneの隣に座ってたパンク少女。こっちで見ると髪の毛はピンクに見えるんだが、あっちでは紫に見えてそう書いてしまったので、こっちも紫にした。ほら、よく見れば紫っぽいピンクに見えるよね…?

屋敷内。窓の外に見える満月。
「”私はすべてを修復できる。私はすべてを修復するつもりだ。Kateは彼らが今晩狩りをするつもりの一群の中にいる。だが私は彼女をそこから救い出す。明日の夜には、我々は自由となり、再び一緒になる。”」
キツネ狩りの服装に着替え、Suttonの日記を朗読するSir Miles。
「”そしてその前に、私はここへ来た目的を果たすつもりだ。私は明朝、怪物を殺す。”」
「なかなかにスリリングだな」Milesは感想を言う。

暖炉の前、Suttonの日記を手に立つMilesの前には、同じく狐狩りの装いのWillieとTarquin。
「このSuttonという男は、1988年にInbisiblesに勧誘され、89年からここで働き始めている。そして我々は今奴がInvisiblesのために動いていると見つけただけなのか?」Milesは言う。
「何ということだ、こいつがこんな腰抜けでなければ、与え得た損害を君らは分かっているのかね?」
「うむ、我々はこの男を四か月にわたり監視し続けて来た…」Willieは言う。
「奴がその間ずっと日記を書き続けているような阿呆だと誰が思うかね?」

「こいつは我々にこれが見つけられることを望んでいたのだ。奴は愚かしいほど明らかに殉教者コンプレックスに取りつかれておる。自身を良心の呵責に苦しめられる悲劇的な英雄だと思っているのだ」
Sir Milesは、Suttonの日記を暖炉の火に放り込む。
「何たる堕落!奴は、何者かが自分を捕まえ、これまでの人生で行ってきた過ちにより罰してくれることを切実に望む臆病者なのだ」
「自らの夢を実現させるとは、何とも幸運な男ではないか!」
帽子を被り、Sir Milesは言う。
「ゲームは進行中だ、そうだな?」
暖炉の炎の中で燃えるSuttonの日記。

屋外の森。地下牢から引き出されたKateを含む数人の男女が、銃を持ったガードの前に並んで立たされている。
「おい、俺は逃げ出せと言ったんだぞ」ガードの男が言う。「少しでもものが考えられるなら、今すぐ逃げ始めろ。お前らの中の誰かは外の道までたどり着けるかもしれんぞ」
「俺はどこにも逃げねえぞ。こんなものは信じられねえ!電話をかけさせろ!」並べられた中の一人の男が抗議する。「ここで何が行われてるのかってことだ。俺たちには権利があるんだ!」

屋敷の中。地下の隠された部屋で、鏡の中から出てくるMoonchild。

外の森。「俺は動かねえ…」
抗議する男をガードが射殺する。

屋敷の鏡の部屋。出て来たMoonchildを見つめる、Sir Miles、Willie、Tarquin。
「これは家族の秘密なのですか?」Moonchildに慄きながら、小声で尋ねるTarquin。
「これは200年前の王室のMoonchildを創ろうとした最初の試みの結果だ。新生児は、包含させた超次元放射の圧力下で、身体と脳が歪んだ」Milesは言う。
「にもかかわらず、これは正統なストラスモア伯爵であり、我々の未来の君主なのだ」

外の森。
「難聴のやつのために繰り返す。逃げろ!」ガードが告げる。

屋敷の鏡の部屋。
「国王万歳。そして狩りの時間だ」Sir Milesが言う。三人はMoonchildを見守る。

ガードに追われ、森の中を走り出す集められた男女。
「何なんだこれは?あいつらみんな銃を持ってるのか?」
「黙れ!とにかく逃げるんだ!」

走るドレッドヘアの女性の背後の空間が歪む。
「あたしじゃない、あんたが…」振り向いて叫ぶ女性に、空間を抜けて来たMoonchildが襲い掛かる。
この世のものと思えない叫びと、その姿に戦慄するKateたち。

倒れたドレッドヘアの女性の上にのしかかり、雄叫びを上げるMoonchild。
走って逃げるKateを呼ぶ声がする。
木立の中から現れたのはSuttonだった。「大丈夫だ。私だ。お前は安全だ。心配するな」
「父さん!ああ、父さん。あれはみんなを殺してる!何かのけだものみたいだ!」KateはSuttonに抱きつく。「みんな殺される!」
「お前はあれには捕まらない。奴らには捕まらない」SuttonはKateを抱きしめて言う。
「ああ、愛しいKate。何もかも駄目にしてしまってすまない。お前を永遠に失ったものと思っていたよ。すまない」

木の根につかまりながら、傾斜地を逃げる犬を連れた老人。「来い、Patch、ううっ」
降りたところで足を挫く。「畜生!足首が!」
座り込む老人の前にMoonchildが現れる。「ああっ!足を痛めたところで…」Moonchildに吠えかかる犬。
倒れた老人にMoonchildがのしかかって来る。「待ってくれ!ちょっと…」
走って逃げるKateとSuttonの背後で悲鳴が響き渡る。
「ああ、酷い」「構うな」

『The Invisibles Vol. 2: Apocalipstick』より 画:John Ridgway

KateとSuttonは、小川の上に橋の用にかけられた倒木に辿り着く。
「あれで川を渡るんだ!」
「来るんだ!急げ!」倒木の上に乗り手を伸ばすSutton。
「行けない。見て」対岸を指さすKate。「あそこにいる!」

対岸には、既にMoonchildが先回りしていた。
「あれは何なの、父さん?」「ハハ、鏡のフレームが無いと、ずいぶん奇妙に見えるな」
「kate、来い」Suttonは言う。「あれは私を襲わない。私たちに襲いかからないことは分かってる」
「駄目よ…。あれに殺される」その場を動けないKate。
「あれは私を襲わない…、頼む…」倒木の上で手を伸ばすSutton。
対岸で近寄って来るMoonchild。

その時、Kateの背後の森から、Sir Milesたちが現れる。
「Kate、後生だ!」SuttonはSir Milesたちを指さして叫ぶ。「あの男たち!あいつらが人殺しなんだ!」
「Kate!頼む!」Suttonは必死に手を伸ばす。

「”頼む”。下層民の永遠の叫びだな」Sir Milesは冷酷に言う。
「聞いた、父さん?あんた下層民なのよ」冷笑を浮かべ、Sir Milesたちに寄り添うKate。
「何だって?お前Kateじゃないんだな?全部トリックだったのか。私をハメたんだな」愕然として言うSutton。「お前はKateじゃない」
「がっかりさせてしまいすまなかったな、Sutton」Sir Milesは言う。

「残念ながら、彼女は君の娘だ」
「そして、彼女が我々の側に属してからしばらくになる」
「お前が哀れな愛を送りたいと切に願う彼女の中には、彼女が子供だった頃の痕跡は微塵もない」
「嫌悪と痛みによる腐食だ、Sutton。それらが我々に出会う遥か前に、彼女を我々の側へと変えていたんだ」

助けを求めるようにMoonchildを振り返るSutton。そんな彼にSir Milesは言う。
「そこに助けを求めても無駄だ。お前はそれの下僕でしかなかったのだ。それはすべて特権の元に行動する」
「そして今、お前は舞台の中央にいるのだ、Sutton。お前の最大の見せ場だ」
「Tarquin」そしてSir Milesは呼びかける。
「はーい、Sir Miles。ブー!」TarquinはKateの頭に銃を向ける。
「何なの?」Kateは不審げに言う。「冗談でしょ?」

「さてここで、お前にはやってもらいたいことがある、Sutton」Sir Milesは言う。
「お前にはInvisiblesを裏切ってもらいたい。お前の組織との連絡者の名前を聞かせてもらいたい。お前には、彼らが拷問され、破壊されるときに、彼らが非難すべきなのはお前だと知ることになると理解してもらいたい。お前にはこの時点より、我々のために働いてもらいたい」
「さもなければ、我々はお前の愛しい娘の脳をぶちまけることになる」

「急ぎ給え、Sutton君」Sir Milesは言う。その後ろでTarquinはkateの腕を掴み、銃を頭に突きつけている。
「わかったよ」Suttonはうなだれて言う。「わかった。知ってることはすべて話す」

「そうすると思っていたよ。それこそが愛だ」
そしてSir Milesは言う。「彼女を殺せ、Tarquin」
TarquinはKateの頭に狙いを定め、そして撃つ。

「そんな…」驚愕するSutton。
「我々が既に知っていないことで、お前が話せることなどないのだよ、Sutton」Sir Milesは言う。
「私は単に、お前とお前の仲間たちがどれほど愚かかを見せたかっただけなのだ」
「我々はお前がこれまで大事に思ってきたものをすべて破壊し、それからお前を消滅させる」
「お前個人の悲劇の主役というわけだよ」
「”感謝いたします、Sir Miles”と言ってみろ」
Kateの死体の前に泣き崩れるSutton。それを見下ろすSir Milesたち。その横でSuttonを見つめるMoonchild。

屋敷の廊下を大型のクローシュが被せられた給仕用カートが使用人によって押されてくる。押しているのは地下牢で牢番をしていたDes。
そして、強い紫外線光が溢れる、鏡の部屋のドアを開き、躊躇いがちに話す。
「その…このことについては気の毒に思ってるんだよ、Jeremy、だが…、つまり…、君も職務については分かってるだろう」

「悪く思わないでくれよ、なあ?」クローシュを持ち上げながら言うDes。大皿の上には縛られたSuttonが寝かされている。
「ああ、私は最後にどうなったのか気になっているだけだ」Suttonは言う。
「何のだい?」「君の本さ。どういう結末になったんだい?」

「何だって?ああ、あれか。良い者が勝ったよ。お定まりのようにね」
鏡の中からMoonchildが現れ、Suttonの乗せられたカートに近付いて来る。

「それは良かった。私は本当は怖れてはいないんだよ、Des。怖れてはいない」Suttonは近づくMoonchildを見ながら言う。
「見給え…。あれは私を好いていると思うんだ」

『The Invisibles Vol. 2: Apocalipstick』より 画:John Ridgway

■#12 Best Man Fall / 画:Steve Parkhouse

●キャラクター

  • Bobby:
    Harmony Houseの警備員。

  • Bobby (少年期):
    少年時代のBobby。

  • Bobby (青年期):
    青年時代のBobby。

  • Stewie (少年期):
    Bobbyの兄。

  • Stewie (青年期):
    青年時代のStewie。

  • Audrey:
    Bobbyの妻。

  • Jess:
    Bobbyの娘。

●Story

この話では、Invisiblesの敵方の一人の兵士の生涯が語られる。アクション作品のの多くに登場するワンシーンだけ登場する無名の兵士。彼の人生はシリーズ最初期のあるシーンへと繋がって行く。
作画はこちらも英国コミックの重鎮、Steve Parkhouse。この作品でレタラーを担当しているのは、同じく英国コミックでその仕事を長く務める奥さんのAnnie Parkhouse。

思い出すんだ。

暗闇に浮かぶ、目を瞑った男の顔。
声が聞こえる。
「よし、次はお前の番だぞ、Bobby」
彼は暗闇の中で思う。「俺は死にかけてる。ああ、畜生、俺は死ぬのか」

これはただのゲームだ。

緊張した面持ちで身構える少年、Bobbyに更に声がかけられる。
「お前、何で殺されたい?」
空き地の中、犬と共に立つBobby少年の周りを、木の棒をライフルのように構えた少年たちが取り囲む。
「ナイフか、手榴弾か、それともライフルか?」
「ライフルがいい」Bobby少年は言う。
「よし、行け!」
少年たちが口々に銃声を叫ぶ中、Bobby少年は犬と共に走り出す。
「ヤアアアアア!」

戦場。
爆風に吹き飛ばされる兵士Bobby。

『The Invisibles Vol. 2: Apocalipstick』より 画:Steve Parkhouse

地面に倒れ込むBobby。「クソッ!」
「ああ、クソッ!ああ、父さん、母さん」歯を食いしばり持ちこたえるBobby。
「あれを見ろ」四つん這いになり、夜闇の中、離れたところで砲弾が飛び交い、着弾の爆発が広がる戦場を見つめるBobby。
「戦闘中のあれを見ろ。俺抜きで進んでいるあれを」

彼は暗闇の中で思う。「俺は死にかけてる。ああ、畜生、俺は死ぬのか」

夜闇の中、色とりどりの爆発が広がる。歓声。「あれを見ろよ!」

「あれはスマッシャーか、んん?」煙草を吸いながら言うBobbyの父。
家族、近所の老人たち、小さな子供たちが集まり花火を楽しんでいる。その中を風船を手に走り回る幼いBobby。
電線ドラムの上に置かれた花火から、噴水のように炎と火花が上がっている。
「見ろよ、ローマンキャンドルだぞ、Bobby?ちょっとした火山みてえだろ、んん?」「父さん!」

「父さん!父さん!別のロケット用意できた?ロケットが見たいよ!父さん!」
「よし、よし、落ち着け、Bobby」ボックスの中の花火を選びながら言う父。
「何があるか見てみようじゃねえか。♪ライトアップザスカイウィズスタンダードファイアウォークス♪」
「でかくてきれいなのを行くぞ」ロケット花火を用意する父。その横でBobbyは持っていた風船を手放す。
「こいつは衛星軌道まで飛んでくぜ、なあ?」
「そら!」打ち上げられるロケット花火。その横を浮かんで行く風船。
「おいおい、何やってんだよ、Bobby!お前風船飛ばしちまったのか。このバカチビ助め」
「失くしたんじゃないよ」Bobbyは言う。「ぼくあれを花火と遊ばせてあげたんだ」
夜空の花火と風船を見上げるBobby。

ここでBobbyの父が歌ってるのは、英国の老舗花火製造会社Standard Fireworksの、多分CMソング。

花火の翌日。Bobbyは友達と一緒に前夜のロケット花火の燃えカスを拾っている。
「Bobby!Bobby!それ置けよ!お前の兄ちゃんが来たぞ!」友達が声を掛ける。
「お前ら何やってんだよ?」ティーンエージャーのBobbyの兄、Stewieが二人の友人とやって来る。
「なんにも」「ぼくたち不発の花火探してるだけだよ、Stewie」

「二重になってるのがあるんだ。兄ちゃんも見つけられるだろうけど、ぼくのいいやつはあげないよ」Bobbyは言う。
「そんなもん要らねえよ。山ほど持ってらあ」Stewieは言う。「こっちに来て、ちょっと壁の前に立ってみな」
言われるままに壁の前に立つBobby。「何のために?何なの?」
「ただちょっとそこに立ってろ」「見るなよ」「いいか?」Bobbyの横で指示するStewie。
「当たりっ!」Bobbyの膝の後ろを蹴りつけるStewie。
「うわあああああああ」壁に打ち付けられたBobbyの膝から血が溢れ出す。

病室。
「お茶にしましょう、ミセスMurray」看護婦がショックを受けている妻を病室から連れ出す。
ベッドの横に座る中年になったBobby。「俺に残されたのはあんただけなんだ、Stewie。兄さんがいなくなったら誰もいなくなっちまう」
「まったく、何のために車を走らせてぶつけなきゃならなかったんだ?」大怪我をしてベッドに横たわるStewieに話しかけるBobby。
「死んだりしないって言ってくれよ、Stewie。俺たちの間が上手く言ってなかったのは分かってるよ。だがそれでもあんたは俺の兄貴なんだ、そうだろう?つまり…、俺はあんたを愛してるって言おうとしてるんだ。あんたは乗り越えられるよ」

何かを言おうとしているように見えるStewieに顔を近づけるBobby。
「Stewie?何だい、Stewie?何を言おうとしてるんだい、兄貴?」「俺は…」
「俺…俺はお前がずっと嫌いだった」何とか体を起こし、苦しげに言うStewie。
ベッドの横の心拍計モニターが、フラットになる。
「看護婦さん?」Stewieの手を握ったBobbyは、静かに言う。

「♪ハッピーバースデイ、ディアBobby。ハッピーバースデイトゥーユー♪」
ベビーベッドが置かれた部屋に、多くのシャボン玉が浮かぶ。テーブルに置かれた数々のプレゼント。
ベビーベッドの中でつかまり立ちした赤ん坊のBobbyが、満面笑顔で見上げる。
「この子可愛いわねえ」「Bobby?bobby、見て!」
「ほら、Alice1叔母さんがあなたにくれたのよ」
Bobbyにテディベアを見せる母。その後ろで兄Stewieが不満気に言う。「ママ、僕もプレゼントもらえるの?」「シッ、Stewie」
「これ見て、Bobby、んん?あなたはこれを何て呼ぶことになるのかしら?」

「マー、EdithはBoodyって呼びなって、カー!」テディベアを抱いたBobbyは言う。
「聞いた?この子何か話したわ。すごいわ、Alice。今の聞いた?」Bobbyの母は言う。
「バカなこと言わないでよ。ただのあなたの想像よ、Ina」alice叔母は言う。「この子まだ1歳なのよ」
嬉しそうにテディベアを抱くBobby。

Bobbyの母、Inaの葬式。数台の車が駐められた教会の前に、出席者たちが出てくる。
「お前の母さんがまだ娘っ子だった頃のことを憶えてるよ。わしらみんな空襲でアンダーソン・シェルターの中に座ってた。それで彼女はあの歌を歌ってたよ。”Ain’t She Sweet”。良い娘だった、お前の母さんは」Bobbyと並んで歩く老人が言う。「恐ろしいことだな。癌とは」
「そうですね」杖を片手に歩くBobby。
「お前の父さんの時はひどかった。あの子がまだあいつの面倒を見てることを神に感謝だろう、なあ?」老人は言う。

「そうね、少なくとも雨にならなくてよかったわ。Inaは雨が嫌いだったもの」会席者の老婆がBobbyの妻Audreyに話しかける。
「顔をどうしたの、Audrey?ひどい痣じゃないの」
「ああ、階段から落ちてしまって。ハイヒールのせいよ」

地面に突き立てられたスコップに、掛けられた足。

「母さんはお前のことを誇りに思ってただろうな。お前は英雄だ」老人は言う。
「ええ、そうですね」Bobbyは答える。

青年期。1970年代頃の長めのヘアスタイルのBobbyとStewie。Bobbyは部屋で荷造りをしている。
「ロンドンかよ」ベッドに坐ったStewieが言う。「ロンドンで何すんだ?お前一週間で戻って来ることになるぞ」
「いいや、そうは思わないな、Stewie」バッグに衣類を詰めながらBobbyは言う。
「おい、お前のテディベアを忘れんなよ、Bobby。ベッドでお前をあっためてくれるやつだぜ」テディベアを抱いてからかうように言うStewie。
「テディベアが要るようになるとは思わないよ」背を向けたまま言うBobby。
「おいおい!こいつのちっちゃな顔を見てみろよ。これはお前への最良の提案だぜ、Bobby。お前はきっと…」
振り返りStewieを殴りつけるBobby。
ベッドの横で鼻血を流しぐったりするStewie。
「絵葉書を送るぜ、Stewie」荷物を肩にかけ、煙草に火を点け部屋から出て行くBobby。
ゴミ箱に放り込まれたテディベア。

夜。子供時代のBobbyが二段ベッドの下段でテディベアを抱いて寝ている。ベッドの横で丸くなって眠る愛犬。
両親の言い争う声が聞こえてくる。
「役立たずのクズ、それがあんたよ!」母が言う。「毎晩酔ってフラフラで帰って来て!自分がどんなだか見てみなさいよ!」
「おい、それじゃ男にゃ少々酔っぱらう権利もねえってのか?そうなのか?このブスが!」父が言う。「もう一言でも言ってみろ。その間抜け面をぶっとばしてやるぞ!」
「やってみなさいよ。あんたがやったらこのナイフを突き刺してやるからね、この最低のろくでなし!」
ベッドの中でテディベアを強く抱きしめながら泣くBobby。
「大丈夫だよ、Boody。なんでもなくなるから。誰にも君を傷付けさせないからね」
「怖がらないで」

地面を掘るスコップ。

公園でブランコに乗る子供時代のBobby。
母は”Ain’t She Sweet”を歌いながら、笑顔でBobbyのブランコを押す。
「もっと高く、ママ!もっと高く!」

庭で遊ぶ幼いBobby。
「Bobby」兄Stewieが呼ぶ声に振り向く。
その顔が怖れに歪む。
「ワオー、お前を捕まえるぞー」ガスマスクを被り、bobbyを脅かすStewie。

壊れた扉を立てかけた石炭庫の奥の暗闇。

両親の言い争う声を聞きながら、ベッドでテディベアを抱きしめるBobby。
「あのガキどもがいなけりゃ、今すぐあのドアから出てくとこだぜ!」「そう!なんでそうしないのよ?」
「心配ないよ、Boody」泣きながらテディベアに話すBobby。「君に嫌なことは何も起こさせないからね。大好きだよ、Boody」

戦場。雨の降る中、頭から血を流しながら地面に倒れ伏し、荒い息をつくBobby。

スコップで地面に穴を掘る青年期のBobby。

妊娠中の妻Audreyの大きくなった腹に耳を当てるBobby。
「わかるかしら?」「すごいぞ、驚きだ。蹴ってるぞ。素晴らしい。僕たちの子だ」

軍の入隊志願所から受け取った書類を見ながら出てくるBobby。
そのまま書類を手に、近くの店へと入って行くBobby。店のウィンドウや新聞売り場の前には、マーガレット・サッチャーと保守党の勝利が大きく報じられている。
店主と客の話し声。「あなたの言う通りですよ。現在のこの国で女性が入ることでの変化を見ていなさい」「ええ、彼女は強い、そうでしょう?彼女は自分の求めるものを知っている」「それこそが我々の必要としていたものですよ。強いリーダーシップ」
「マルボロ一箱」店主に言うBobby。

戦場で負った怪我により、身体中を包帯で巻かれ病院のベッドに横たわるBobby。
「あなたに勲章が授与されるそうよ、Bobby」ベッドの傍らに付き添う妻Audreyが、彼の手を握りながら言う。
「そんなものよりむしろ酒の一杯でもおごってもらいたいぜ」苦々しげに言うBobby。

「そら、Jess。ほら、口を大きく開けて。飛行機が来るぞ~」スプーンを差し出すBobby。

病院の廊下、椅子に座って待つBobbyに助産婦が話しかける。
「悪いお知らせで恐縮なのですが、Murrayさん。出生した貴方の娘さんは脳性麻痺を患っております」助産婦は言う。「お気の毒です。本当にお気の毒なのですが」
「なんだって?」聞き返すBobby。

「いい子だ。ほーら、これだよ。食べような」スプーンを近づけるBobby。
だが車椅子に座ったJessは、嫌そうに顔を背ける。

「飛行機が来るぞ~(Here comes the aeroplane)」は、小さな子に親がスプーンで食べさせるときに、それを飛行機に見た立てて言う昔ながらのフレーズ。

「これはただのマスクよ、Bobby。大丈夫だからね」ガスマスクを被った兄Stewieに驚かされ、怯えるBobbyをなだめる母。
「ほら見て、ただの馬鹿げた古いマスクなのよ」
母の背後に不満気な顔で立つStewie。

1982年のフォークランド紛争で、兵士たちを乗せ海路アルゼンチンへと向かう船。兵士たちの歌声が響く。「♪俺たちゃマギーの軍隊で行進中♪」
「それでどう思う、Archie?俺たち実際に戦闘に出くわすことになると思うか?」甲板の上で仲間の兵士と話すBobby。
「いいや、そんなことにゃならねえよ。アルゼンチン野郎どもは、俺たちを一目見たら必死に逃げ出すさ。英国軍に立ち向かう奴なんていやしねえさ、相棒。正気ならな」答えるArchie。「こんなの一日で終わるさ」
「♪俺たちゃアルゼンチンへ向かって行軍中♪」

庭で、スコップで掘った穴の前に立つ青年期のBobby。

学校の教室。女性教師が少年時代のBobbyに問いかける。
「それで、あなたはどうかしら?大人になったら何になりたい?」
「宇宙飛行士です、Pollitt先生」そう答えるBobby。

フォークランド紛争の戦場。雨の中、怪我をした兵士が担架に乗せられて運ばれて行く。
「畜生!」担架の上で身動きできない兵士が言う。
「お前は大丈夫だ!」担架を運ぶ兵士が言う。「全て問題ない。俺たちがお前を連れてく。しっかりしろ!」

庭に掘った穴に、子供時代を一緒に過ごした愛犬Brandyの亡骸を埋めるBobby。
「さよなら、Brandy。お前はいい友達だったよ。さよなら」

「まったく、ありゃあ気味の悪いところだな、Archie。連中あそこで何をやらかしてるんだい?お前あの小僧共が全員ゾンビみてえに座ってんの見たか?」
中年期のBobby。どこかのパブでかつての戦友Archieと会うBobby。
「連中、あいつらを洗脳かなんかしてるんじゃないのか?違法なんじゃねえか?」Bobbyは言う。
「質問はなしだ、Bobby。俺から言えるのはそれだけだ。いい金になるんだよ」飲み物を手にテーブルに着くArchie。「何にしろだ、お前あの悪ガキどもが外で婆さんから引ったくったり、厄介事を起こすのが見たいのか?」
「そうだろうがな。ただありゃあ気味が悪いってだけだ」Bobbyは言う。
「連中は俺たちみたいな退役軍人を求めてるんだよ」Archieは言う。「あの手の民間警備会社は未来へ向かう波さ」
「でかいビジネスはみんな自身の警備を雇ってる。給料は高くて、俺たちは小切手帳を持ってる奴以外に答える必要はないんだ」
「それで充分だ。割のいい仕事で、俺たちゃ本当に金に困ってるんだ、Jessやそのほか全てのあれこれにな…」Bobbyは言う。
「そう来なくちゃな!」Archieは言う。「それで、Audreyはどうしてる?しばらく会ってないが」

妻Audreyに殴りかかるBobby。

「元気さ。元気でやってる」グラスを口に運びながら、目を逸らして言うBobby。
「お前はずっといい友達だったな、Archie。この仕事を持って来てくれたことには本当に感謝してるよ。やるさ」

Harmony Houseの警備員用ロッカールーム。制服に着替えたBobbyはベンチに腰掛け、家から持ってきたビスケットを食べている。
「俺たちの歌がまた流れてるな。連中いつになったら誰かにあのアラームを直させるんだ?」Bobbyが言う。「今晩5回も鳴ってるんだぞ」
「お前、昨日のあの『ベイウォッチ』見たか?すげえ女だよな、ええ?」Archieが隣でブーツのひもを締めながら言う。
「夢見てやがれ、Archie」Bobbyはビスケットの箱の中にあった紙片を見ながら言う。
「ところで、お前さんのビスケットを恵んでくれねえか、ん?俺ぁ腹減ってんだよ」
Archieは紙片を見ているBobbyに言う。「そいつは何なんだ?チーズサンドイッチの借用書か?」
「何でもねえよ」Bobbyは紙片を見つめながら言う。「ただの女房からの伝言だ。こいつは…」

そこで警備員の一人がドアを開け、声を掛ける。「全員出動だ!侵入して来た奴がいる!」
「誰かが殺された!」警備員は言う。
「殺された?」ベンチから腰を上げBobbyは言う。「何だって?ここでか?」
「クソッ」ヘルメットを被るArchie。
「口を閉じて動け!行け!」走り出す警備員たち。その足元にBobbyの妻からのメモが落ちる。

朝のことはごめんなさい。
愛してるわ、Bobby。
-Audより

ヘルメットを被った警備員たちが小銃を手にHarmony Houseの通路を走って行く。「なんてこった!昼食休憩の時間のはずだったんだぞ」
「これで残業代が稼げりゃいいんだがな」
「あっちだ!」片手で殴打された首を押さえながら部屋から出て来た所長のGeltが、侵入者が逃げた方向を指さす。
「奴はあっちに向かったぞ!」指示する所長の前を走り抜けるBobbyたち警備員。
そして通路に立ちはだかる侵入者を発見する。
「野郎を見つけたぞ!こいつは…」

「俺はこんな生き方を望んじゃいなかったんだ!俺がこんな生活を求めてたと思ってんのか?」
「ここを見てみろ!この救いようもないクソを!」
車椅子で俯くJessのいる部屋にBobbyの怒鳴り声が響く。
「お前が!」妻Audreyを殴るBobby。
「ああああああああ」虚ろに叫び声を上げる娘Jess。
「何もかもなんでこんなことになっちまったんだ?こんなことは望んじゃいなかったんだ」叫ぶBobby。「自分を見てみろよ!太りやがって!俺たちを見てみろよ!」
「殴らないで!殴らないでよ、このろくでなし!」

パンク風ファッションに身を包んだ若き日のBobbyが、ホットドッグスタンドの店員の女性に声を掛ける。
「名前はなんていうんだい?」「Audrey、あたしAudreyよ。それであなたは?」

「ああああああ」叫び続けるJess。
「畜生。ああ畜生」部屋の中で立ち尽くすBobby。
「俺はこんな風になりたかったんじゃないんだ。俺は悪人じゃないんだ」Jessをなだめながら言うBobby。
「ごめんよ、Jess。ごめん、Audrey。みんなごめん」
「俺はどうすりゃいいんだ?」

「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な一歩だ」1969年、月面着陸を成し遂げたアポロ11号のアームストロング船長の言葉が、TVから流れてくる。
壊れたドアが立てかけられた石炭庫の前に、棒を片手に持ち立つ少年時代のBobby。
「お前なんか怖くないぞ」Bobbyは言う。
幼い頃、ガスマスクを被った兄に脅かされて以来捕らわれて来た、納屋の中に恐ろしい怪物がいるという恐怖に立ち向かうべくやって来たBobby。
「怖くない」
ドアをどけ、暗闇の中に踏み込んで行くBobby。

Harmony Houseの通路で侵入者と遭遇したBobby。
そこに立っていたのは、幼い頃のトラウマだったガスマスクに似たマスクを被ったKing Mobだった。
驚愕に瞬間硬直するBobby。
「クソッ!」銃を構え直したときに同僚が撃たれる。「畜生…。あいつ俺を撃ちやがった…」
「俺のタマ…、俺のタマが…、頼むから医者を呼んでくれ、誰か医者を呼んでくれ…」
銃を構えたBobbyの時間が止まる。
King Mobの銃口から上る硝煙。

『The Invisibles Vol. 2: Apocalipstick』より 画:Steve Parkhouse

青年期。BobbyはAudreyと海岸に立ち、遠くの古城を眺めている。
「俺が外で遊んでいるとき、親父はいつも暗くなる前に帰らないと、毛むくじゃらのトロンボーンが捕まえに来るぞ、って言ってたんだ」Bobbyは言う。「毛むくじゃらのトロンボーンは石炭庫に住んでるんだ。世界で一番恐ろしい怪物なのさ」
「毛むくじゃらのトロンボーンですって?ちょっとおぞましいわね。フライドポテトはまだある?」Audreyが言う。
「ほら、最後のを食べていいよ」フライドポテトの包みを開きながら言うBobby。
「俺はずっとそのドアが怖くて仕方がなかったんだ。それは青くて、ほとんどのペンキは剥がれかけてた。9歳ごろのある夜、俺はそこに行って闘うことを決意したのを憶えてる。そうしなきゃならないと思ったんだ」
「それでどうなったの?」
「俺はやった。ドアを開けて、世界で最も恐ろしいものを見たんだ。それはただのガスマスクだったのさ」
高台の道へ向かって昇りながら話すBobby。
「石炭の上の釘に掛けてあった古いガスマスクだったのさ」

「小さいときに怖がっていたものなんて、馬鹿々々しいものさ」柵を越えるAudreyを助けながら話すBobby。
「君が一番恐ろしいものは何だい?」
「わからないわ。私は死やその類いのことが怖いんじゃないかと思う。他のみんなと同じように。歳を取って、孤独になる事」Audreyは言う。
「自分がどんな風に死ぬか考えたことある?」
「いいや。俺は永遠に生きるんだ」
二人は高台の道を進んで行く。

二人は開けた空に浮かぶいくつもの気球を見上げる。
「あれを見なよ。素晴らしいと思わないかい?俺たちもあの上にいられたらなって思うよ」Bobbyは言う。
「君に言うよ、Audrey。これは俺にとってこれまでで最高の休日さ」
「わかるわ。私もそうよ」
「俺は今思ってる。君は美しいよ」Audreyに向かい合って言うBobby。
「俺と結婚してくれるかい?」
「いつでも」
二人はキスする。
美しい風景の中、抱き合うBobbyとAudrey。

『The Invisibles Vol. 2: Apocalipstick』より 画:Steve Parkhouse

Harmony House。
King Mobの銃弾が、Bobbyのヘルメットを破壊し、顔面を撃ち抜く。
通路の床に突っ伏し、血を流すBovvy。
「見えない…、何も見えない…、あいつ俺の顔に何したんだ…、酷いのか?」
「うう…、クソ…、有りえねえ…」

暗転。
彼は暗闇の中で思う。「俺は死にかけてる。ああ、畜生、俺は死ぬのか」

床の血の海の中に倒れ伏し、動かなくなったBobby。

暗転。
「おう、やったな」

場面は冒頭の子供時代の戦争ごっこの続きへ。
仲間たちの銃弾に倒れ、地面で死んだふりをするBobby。
「うまかったぜ、Bobby」仲間の一人がBobbyの演技をほめる。
「”うまかった”ってどういう意味だい?あれはリアルな死にざまだったんだぞ。戦争映画みたいな」起き上がったBobbyが言う。「俺は俳優になれると思うな」
「そうだな、次はFinlayの番だ」仲間の一人が言う。

これはただのゲームだ。

「よし」Bobbyは言う。
「ナイフか、手榴弾か、それともライフルか?」

思い出すんだ。

『The Invisibles Vol. 2: Apocalipstick』より 画:Steve Parkhouse

今後もInvisiblesの敵方の重要なキャラクターとして登場して来るSir MilesとMoonchiledが登場する第11話。…いや、敵の方Outer Churchって名前があるんだが、作品内的にまだ名前が出てこないんで…。お前が早く進めろよってところなんだが…。
そしてアクションヒーロー物に多く登場し、一コマで殺される雑兵の生涯を1話に凝縮して描いた第12話。作品的な完成度も優れているんだが、まあ、こういう話書く人王道ヒーローもの絶対向いてないよな。うーん、ここで無造作に「王道」とか書いて色々考えてしまったんだけど、結論としては王道みたいなもの自体が曖昧極まりない都合のいいイメージなんじゃないかってこと。少し書いてたんだけど、ここで長々と書くことでもないなと消しました。どちらかというと近々やる予定のスコット・スナイダーあたりで考えたことなので、その時書くかも?書かないかも?まあここではモリソンがそういう方向で批判されがちってことぐらいで。一方でモリソン自体の中にも一つ「王道」というようなイメージがあり、その模索やら考察が『スーパーゴッズ』というような著作を書くとこに繋がったのかもとも思う。とりあえず自分的には「王道」みたいな言い方で何か説明したつもりになるのはやめようかなと、やや反省。

シリーズがまだ序盤ぐらいで、あまり先の見えない謎だらけのストーリーが、ここで3作ワンショットを挟むことで一時中断されるのはやや悪手だったのではないかとも見えるんだが、全体を俯瞰するような考えから行くと、もっとこういうのもあった方が良かったんじゃないかとも思ったりする。難しいね。
次回からはDane逃亡後のストーリーの続きが、まずはシャーマンである女装者Fannyの物語から始まって行きます。

作者について

■John Ridgway

1940年生まれの英国のコミックアーティスト。1970年代から英国の戦争コミック誌『Commando For Action and Adventure』で趣味としてイラスト的なところから始め、1984年に本格的にコミックアーティストとしての仕事を始める。『Commando For Action and Adventure』は1960年代から現在まで続いている英国の第一次・第二次世界大戦をテーマとしたコミック誌。小林源文的な方向と考えるとわかりやすいかと。『Doctor Who』シリーズや2000ADで多くの作品を手掛けている。何故かWikiにアメリカでの仕事がほとんど掲載されていないのでわかりにくいんだが、Vertigo『Hellblazer』の最初のアーティストとしても知られている。だが『Hellblazer』初期の頃って、アメリカのペンシラー-インカーシステムが合わず結構苦戦して完全に実力を出せていなかった印象。ここではペン入れ作業まで自分で行い、怪奇幻想方向に強い本来の実力を発揮している。

■Steve Parkhouse

1948年生まれの英国のコミックアーティスト。奥さんのAnnie Parkhouseも英国コミックの有名なレタラーで、この作品でもそちらを担当。1960年代末頃からマーベルUKなどでコミックの仕事を始める。ストーリーライターとしての仕事も多い様子。やはり活動の場は英国が中心で、『Doctor Who』シリーズ、2000ADなど。アラン・ムーアの『The Bojeffries Saga』の作画も手掛けている。近年ではDark Horse ComicsからのPeter Hoganとの『Resident Alien』。2012年から現在まで続くTVシリーズ化もされた作品で、もうこっちが代表作ということになるのかな?幼児期から中年期まで破綻なく描き分ける本当に上手い人だなと思う。特に女性、お母さんや奥さんの年齢による体型も含めた変化とか。

このワンショット3作を見ると、モリソンはそれぞれの作品に合わせて、それぞれの一番いいところを引き出す感じで自国英国の優れたアーティストを起用したという感じ。ただこっちの後編の2作については、ストーリー的に英国の事情が分からないとわかりにくいものも多いかと思うんだが、アメリカで出版してどうだったのかな?と少し考えた。

やっと第3回。なんとか半年、10月ぐらいにはと思っていたんだがまた結局1年かかってしまった…。前年よりはちゃんとスケジュールに組み込んで進めていたはずなんだが、結局あれやこれに時間がかかり過ぎてしまったというところなんだろうけど。まああれやこれの反省はもうすぐ3周年なのでそっちでやればいいか。
直近のことを言えば、一年で一番体調が良くない時期に、去年程ひどくならんよう気を付けてスローペースとなるところで、本店12周年で手間のかかり過ぎることをやってこちらにあまり手が回らないでいたところで、そこに加えてちょっと個人的に忙しくなるようなことになってしまい、年明け~2月半ばまでほぼ進まなかったみたいな事情もあったりさ。12周年あんな頑張ってどうなんの?って気分もあるけど、まあ誰か見る人もいるでしょ。そんぐらいでマイペースで好き勝手にやってくしかないよね。まあこっちが著しく中断してすみませんでしたぐらいで。
とにかくこの『The Invisibles』に対する思いは散々言ってきたと思うんで、ここで付け加えることもないかな。なんとかこの伝説的な超大怪作が日本でもごく一部の人にでも伝わって、語り継がれて行くことになるように、出来るだけ頑張ります。ちゃんと明日から続き始めるよ。あ、明日ちょっと出かけるから明後日からか…?人生はままならんねえ。

The Invisibles

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