Vampirella姐さんの経歴 -後編-

Vampirella姐さんの経歴 前編では最初期のWarren Publishingについて解説しましたが、後編ではその後のHarris Publications、Dynamite EntertainmentのVampirellaについてまとめて行きます。

Harris Publications

1977年に設立されたHarris Publications(2016年以降Athlon Media Group傘下)は、スポーツ、美容、銃器からペットまで様々な雑誌を出版する会社だったようだが、その中でも記憶されるのがVampirellaコミックの出版だったようだ。少なくともWikipedia見る限り。

前編にもその経緯については書いたが、1983年経営不振に陥ったWarren Publishingから、オークションにより『Creepy』、『Eerie』、『Vampirella』の版権を取得。その後、Warrenの社主James Warrenが、その版権譲渡に異議申し立てをして起こした訴訟に敗訴し、1999年に『Creepy』、『Eerie』の版権は失うが、1983年から、Dynamite Entertainmentに版権が売却される2010年まで、Vampirellaコミックの出版を続ける。

■キャラクター設定の変更

Harrisでの再出発に伴い、VampirellaのそれまでのDrakulon星から来た宇宙の吸血鬼という設定は変更される。

Vampirellaは本当は、ユダヤの伝承でアダムの最初の妻とされるリリスの娘で、リリスが産み出した多くの悪を滅ぼすために送り出された。Drakulon星から来たというのは、リリスがVampirellaに先立ち同じ目的で送り出したが、悪に寝返ってしまったMadekとMagdaleneによる洗脳で植え付けられた偽の記憶である。

これを考えたのは、マーベルDCでも活躍の多い、『Astro City』の作者でもあるKurt Busiekらしい。

こういう変更がされた理由はまあ想像できる。

前編で書いたように、WarrenでのVampirellaのDrakulon星から来た宇宙の吸血鬼という設定は、そもそもがその設定から物語を作って行くという方向性のものではなかっただろう。また、その後多くのVampirellaを主人公としたストーリーが作られるようになったとは言っても、Warrenでの多分多くても1話10ページ前後と思われる出版形態や、作家傾向から、いくらか長めのストーリーアークが作られてもその設定の中で何とかなったのだろうと思う。

しかし、Harrisが版権を取得し意図したのは、アメリカのコミックの一般的なスタイルである1号25ページほどでストーリーが連続して行くようなVampirellaを主人公とするシリーズである。吸血鬼といったオカルト的なものを主人公にした時の定番として、既存の神話・伝承・宗教などに絡めることで、スケールの大きい、または大きく見える物語を作ることができる。そんなわけで「宇宙から来た」という設定が邪魔になり、そこを取り除いたということだろうと思う。

ところでVampirellaには、1996年に作られた映画が一つある。そっちの方私は観てないんだが。そちらのあらすじを読んでみると、30世紀前にDrakulon星から逃亡してきた吸血鬼が、とか明らかにWarren版の方で作られたストーリーや設定を元にしているように思われる。

1996年と言えば、既にHarrisで独自のストーリーが展開されていた時期で、一方でWarren版の方はいくらか単行本的にまとめられていたようだが、どのくらい浸透していたのかは不明。そちらの制作陣の意図はよくわからないし、映画屋の出鱈目っぷりなどもう毎度お馴染みではあるが、少なくともHarris版に関しては、キャラクターやブランドとしての人気が独り歩きする一方で、それほどはメジャーじゃなかったのかもしれんな、というのは残念ながら窺われるようだが。

■Harris版Vampirellaと現在出版されているもの

Harris版Vampirella

Harris版Vampirellaについては、現在Dynamite Entertainmentより『Vampirella Masters Series』全8巻として出版されているのだが、主に有名作家のものを中心としてまとめたもので、オリジナルの発行順に沿ったものでもなく、またHarrisでのメインのシリーズなのかもしれない長めのシリーズも含まれていなかったりして、到底Harris時代のものを最初から読んだり全貌をつかめるといったものではない。まあ、それがHarris版の世間的な評価なのだろうけど。

なんだかんだ言ってもほぼ四半世紀以上Vampirellaの版権を持っていたHarrisなので、それなりに量はあるのだが、とりあえず大量にあるワンショットは省き、以下に長めのシリーズとミニシリーズ一覧を作成した。いや、完全にwiki頼みで丸写し。すみません。英語版Vampirellawikiこちらです。

発表年 シリーズタイトル メインライター 収録TPB
1991-92 Vampirella: Morning in America 1-4 Kurt Busiek Vol.5
1992-93 Vampirella Monthly 1-5 Grant Morrison
1994-96 Vengeance of Vampirella 0-25 Tom Sniegoski
1994 Chains of Chaos 1-3 Tom Sniegoski
1995 Vampirella/Shadowhawk: Creatures of the Night 1-2 Various
1995 Vampirella Strikes 1-7 Tom Sniegoski
1996 Vampirella: Death and Destruction 1-3 Tom Sniegoski, Christopher Golden
1996 Vampirella Lives 1-3 Warren Ellis Vol.2
1997 Vampirella vs Hemorrhage 1-3 Tom Sneigowski, Ian Edginton
1997 Vampirella: Blood Lust 1-2 James Robinson Vol.6
1997-? Vampirella Monthly 1-26 Various Vol.1(#1-6)
2001-03 Vampirella 1-22 Mark Millar Vol.3(#1-3)
2003-04 Vampirella Magazine 1-10 Various Vol.4(#1,10),
Vol.7(#?)
2005-06 Vampirella: Revelations 1-3 Mike Carey/Mike Lilly & Bob Almond Vol.8

結構ごっそり抜けてるとこあるな、と思っていたのだが、このうち『Vengeance of Vampirella』と『Vampirella Strikes』に関しては、近年Dynamiteより、オリジナルと同じTom Sniegoskiをストーリーライターとしてリメイクされている。省略したワンショットの中では、特に後期はWitchbladeのような他社作品とのクロスオーバーが多い。その他、ワンショットの中で『Vampirella Masters Series』の方に収録されているものについては、次でなるべく拾って行きます。

Vampirella Masters Series

Vol.1

収録作:Vampirella Monthly #1-6 (Grant Morrison,Mark Millar), “Blood Red Game” (Grant Morrison) 1996:Vampirella 25th Anniversary Special, “Cold Day In Hell” (Mark Millar) 1995:Vampirella Strikes #6

Harris時代中期から後期ぐらいの1997年からの「Vampirella Monthly」のグラント・モリソン/マーク・ミラーによる最初の6話と、モリソン、ミラーそれぞれのワンショット。

Vol.2

収録作:Vampirella Lives 1-3 (1996:Warren Ellis), Vampirella/Dracula: The Centennial (1997:Warren Ellis)

Vol.2はウォーレン・エリスによる作品を集めたもの。こちらも中期ぐらいの1996年のミニシリーズ『Vampirella Lives』と、1997年のワンショット『Vampirella/Dracula: The Centennial』。あとVampirella 25th Anniversary Specialからの短編作品が収録されているようだけど、タイトル不明。

Vol.3

収録作:”Nowheresville!” (Mark Millar) Vampirella(2001-03) #1-3 , “Fear Of Mirrors” (John Smith)

後期2001から03年の『Vampirella』の1~3話「Nowheresville!」はかつてHarrisからも同名で単行本にまとめられている。英国の鬼才John Smithによる「Fear Of Mirrors」はちょっと不明なのだが、多分同じVampirella(2001-03)からではないかと。

Vol.4

収録作:Vampirella Magazine: “New European” (Alan Moore), “Vampirella of Drakulon” (Forest Ackerman), “Looking for Mr. Goodwin” (Jeph Loeb), “Sanctuary” (Christopher Priest), “Lust for Life” (Ty Templeton), “The Killing Floor” (Steve Lieber), “Winter Rose” (Liam Sharp), “Matinee” (Michael Golden), “Fantasy Feast” (Jimmy Palmiotti), “Angel of Mercy” (Hester), “Bugs” (Kurt Busiek)

後期2003-04年に出ていた『Vampirella Magazine』からの作品だが、作品数の多さなどから見ても『Vampirella Magazine』というのはアンソロジータイプのもので、全てVampirellaの短編なのだと思う。

Vol.5

収録作:Vampirella: Morning in America (Kurt Busiek), Vampirella’s Summer Nights (Kurt Busiek), “Vampirella: Dracula War” (Kurt Busiek) Vampirella Monthly #1-4

Vampirellaの設定が変更されたHarris最初期の『Vampirella: Morning in America』(1991-92)から、Kurt Busiek作品を集めた巻。92年のワンショット『Vampirella’s Summer Nights』は、中からBusiekによる作品のみピックアップしたのかもしれない。最後の”Vampirella: Dracula War”、93年ということでこのVampirella Monthlyしかないのだが、wikiでは全5号のメインライターも、こっちでは省略した作画もすべてグラント・モリソンになっていてそちらが間違っている可能性濃厚なのだが、確かめる術もない…。とにかく93年頃のやつです。ちなみにこの5巻だけここまでのよりボリュームが倍以上になっていて、結構編集適当かも。

Vol.6

収録作:Vampirella: Blood Lust (James Robinson), “Vampirella Vs. Dracula” (James Robinson) 1996:Vampirella 25th Anniversary Special

90年代前半からDCマーベルで多くの仕事をしているJames Robinsonによる作品で編集。1997年の『Vampirella: Blood Lust』とこちらで初公開となるそのエピローグのあらすじやら的なもの。 “Vampirella Vs. Dracula”は1996年のVampirella 25th Anniversary Specialに収録されていた短編。

Vol.7

収録作:Vampirella vs Pantha (Mark Millar)

1997年のMark Millarによるワンショット『Vampirella vs Pantha』を中心に、Warren時代からのキャラクターPantha(Warren時代には同じくDrakulon星出身だったが、こちらも設定が変更された)の登場する話を集めたもの。Warren版のエピソードの他、2003-04年の『Vampirella Magazine』からの短編など。

Vol.8

収録作:Vampirella: Revelations (Mike Carey), Vampirella Quarterly (Joshua Hale Fialkov)

英国出身の、小説家としても評価の高いMike Careyによる2005-06年のミニシリーズ『Vampirella: Revelations』と、『Echoes』、『The Bunker』などで知られるJoshua Hale Fialkovによる2007年のワンショット『Vampirella Quarterly』。Fialkovいつかなんか書ければと思ってるけど、もうやめちゃったのかな?

The Best Of Vampirella Masters Series Omnibus

以上のVampirella Masters Seriesの中からさらにセレクトしたベスト作品集。収録作の詳細は不明なのだが、545ページなので、さすがに全部は入ってないかと思う。

Vampi

2003~05年の間にManga作品を出版していたHarris PublicationsのインプリントAnarchy Studioから出ていた、一応Vampirella関連の作品。全25号で出版された他、ミニシリーズも4つあったとのこと。Dynamite Entertainmentから2012年に出た最初の18号を集めたオムニバス版はプリント版のみで、電子書籍版はその18号バラ売りのみが現在販売されている。

とりあえず全く知らない作品だったし、カバーだけ見てもよくわからんのでバラ売りの1号を買って読んでみた。内容は、主人公の草薙素何某風のVampiが、敵組織の基地に潜入し、何か重要な「Ladder」というものを奪取すべく戦うストーリーで、真ん中に私服ミニスカのVampiが90年代ぐらいの日本のマンガアニメ風イケメンとイチャイチャする場面が入る。

『Vampi #1』より 画: Kevin Lau

まあ1号だけ読んだって話よくわかんないのは当たり前だろうが、この時期90~2000年代のアメコミには、読者がついてこられなくてもオレ設定オレストーリーゴリ押し作品が多く、ちょっとそういう匂いもするので続きを読んでもわからないかもしれない。画に関してはこの時期のMangaの中でもクオリティ高い方ではないかと思われる。

ストーリーDavid Conwayについては、マーベル作品もあるようだが、現在は著者名を(Horror fiction writer) David Conwayとホラー作家であることを強調し、コミック作品についてはVampi、Vampirella関連しか自身のAmazonページに載せていないので、そこは触れないであげた方が良いのかもしれない。作画Kevin Lauについては、他にカプコンの『ストリートファイター』や『ヴァンパイア』のコミカライズ作品を出しているUdonにも作品がある様子。

Vampirella:Harris Publications

■■Vampirella Masters Series

Dynamite Entertainment

■Dynamite版Vampirellaについて

2010年、Dynamite EntertainmentはHarris PublicationsよりVampirellaの版権を取得し、以降数多くの新作Vampirella作品を出版し続け、またその一方で過去作品の復刻出版も続けている。

作品の方向性のキーとしてこちらがこだわり続けているVampirellaの設定については、第1シリーズの冒頭では曖昧にされたが、後に語りなおす形でHarris版のリリスの娘という設定を踏襲しているようだ。これは、やはり当初から使いやすいそちらで行く方針だったが、1996年の映画が旧設定で作られた状況に顕著なように、Harris版の設定がそのまま使えるか疑問というところがあったからかもしれない。

Dynamite版Vampirellaは、これまでに継続的に5シリーズが出版されているが、その過程で複数のリブートが行われ、その中でアメコミではすっかりお馴染みのマルチヴァース設定も持ち込まれているようだ。ここから旧Drakulon星から来た吸血鬼設定も復活される可能性は高いし、もう既に出ているのかもしれない。

Dynamiteは、新旧合わせた既存作品の版権を多く取得し、そこから多数のシリーズを展開しているタイプのコミックパブリッシャーである。ゆえに自社他社作品とのクロスオーバーも大変多い。Harris後期でも同様にクロスオーバー作品が多かったことは既に書いたが、Harrisのそれが多くはワンショットだったのに対し、Dynamiteでは4~6話程度のTPBとしてまとめられるサイズに変わっている。話の作り方や作画スタイルの時代変化もあるだろうが、コミックの売り方の変化という要素が高いのも感じられる。

■Dynamite版Vampirella作品

とりあえず、基本的にはTPBの形でまとめられているもの、またはまとめられる予定のあるものという基準で、ワンショットについては省略、メインとなるシリーズと、ミニシリーズ、クロスオーバーシリーズなどに分類し、できるものについては簡単に説明を付けました。作画については、とりあえずこちらも省略。

『Vengeance of Vampirella』については、メインシリーズに準ずるラインと思われるため、別にまとめました。

〇シリーズ

Vampirella (2010-2014) 1-38

Dynamite版Vampirella第1シリーズ。全38話。ストリーは前半が、ゲーム業界から転身し現在はグレッグ・ルッカ作品の共作者であるEric Trautmann、後半がDJ、ミュージシャンなど異色の経歴のBrandon Jerwa。TPB Vol.1~Vol.6。Vampirella: The Dynamite Years Omnibus Vol.1~Vol.2に収録。

宿敵ドラキュラとその強力な配下と戦うという展開で始まって行く。出自を曖昧にした形で始まるDynamite版Vampirellaだったが、後半からはHarris版のリリスの娘という設定が引き継がれて行くようだ。

こちらの第1シリーズ序盤ぐらい読んでいるので、少し紹介すると、シアトルの裏社会に女帝として君臨するドラキュラの配下Lu Fanuとの闘いという感じで始まるのだが、ご覧のようにかなりダークでバイオレンス、更にはスプラッタな展開も多かったりする。

『Vampirella (2011-2014) Vol. 1: Crown of Worms』より 画: Wagner Reis

Vampirella (Vol.2) (2016) 1-14

Dynamite版Vampirella第2シリーズ。全14話。日本にも翻訳がある女性ホラー作家ナンシー・A・コリンズが、ストーリーを担当。TPB:Vol.1~Vol.2。Vampirella: The Dynamite Years Omnibus Vol.3に収録。

Vampirella (Vol.3) (2016) 1-6

Dynamite版Vampirella第3シリーズ。全6話。Vampirellaがハリウッドに行くという全6話のストーリーで、なんだかミニシリーズのようにも見えるのだが、本編第3シリーズということらしい。コミック以外にも映画やテレビシリーズなどでマルチに活躍する女性作家Kate Lethが、ストーリーを担当。TPB:Vampirella Vol.3: Hollywood Horror。

Vampirella (Vol.4) (2017-18) 0-11

Dynamite版Vampirella第4シリーズ。全12話。1000年後の世界に戻ってきたVampirellaの物語、ということでどういう話になっているのかもはやわからないが…。Vol.2に続く第2のリブートというシリーズらしい。ストーリーを担当するPaul Cornellは『Doctor Who』のテレビシリーズなどで知られる英国作家。TPB:Vol. 1: Forbidden Fruit、Vol. 2: The God You Know。

Vampirella (Vol.5) (2019-21) 1-25

Dynamite版Vampirella第5シリーズ。全25話。Vampirellaの生まれたDraklon星は、地球がArcadiaだった世界での月で…、などもうどうなってるのかわからないが、前シリーズで伝家の宝刀パラレルユニヴァースを切ってしまったようなので、色々ありになったようだ。ストーリーはChristopher Priest。英国の有名なSF作家と同名だが別人。コミックの方では昔の『Quantum and Woody』の作者などそれなりに実績のある人。TPB:Vampirella:Seduction of Innocent Vol.1、Vol.2、Vampirella: Interstellar Vol.3。

〇Vengeance of Vampirella (Vol.2)

Vengeance of Vampirella (Vol.2) (2019-21) 1-25

全25話。Harris時代の同名作の、同じTom Sniegoskiによるリメイクということだが、Vol.2となっていることから少し違うのかもしれない。パラレルユニヴァース後の別ラインなのかも。TPB:Vengeance of Vampirella: Vol.1 – Rebirth、Vol.2 – The Spoils of War、Vol.3 – Ghost Dance、 Vol.4 – After the Fall。

Vampirella Strikes (2022-23) 1-13

全13話(予定)。Tom Sniegoskiによる現在進行中の『Vengeance of Vampirella』の続編。勢いでHarris時代の同名シリーズのリメイクと言ってしまったが、違うかもしれない。Dynamiteでも同名のミニシリーズがあるが、Sniegoskiかなりこのタイトル気に入ってるみたい。TPB:未発売。

〇ミニシリーズ、他

Vampirella and the Scarlet Legion (2011) 1-5

全5話のミニシリーズ。映画の脚本家からコミックに進出したJoe Harrisがストーリーを担当。TPB:Vampirella and the Scarlet Legion。Vampirella: The Dynamite Years Omnibus Vol.4に収録。

Vampirella: Red Room (2012) 1-4

全4話のミニシリーズ。90年代の『Nocturnals』で知られるDan Breretonがストーリーを担当。Vampirella: The Dynamite Years Omnibus Vol.4に収録。他はKindle単話販売。

Vampirella vs. Dracula (2012) 1-6

全6話のミニシリーズ。Joe Harrisがストーリーを担当。TPB:Vampirella vs. Dracula。Vampirella: The Dynamite Years Omnibus Vol.4に収録。

Vampirella: Southern Gothic (2013) 1-5

全5話のミニシリーズ。Boom-Archana『Cow Boy』、Image『Pigs』のNate Cosbyがストーリーを担当。TPB:Vampirella: Southern Gothic。

Vampirella Strikes (2013) 1-6

全6話のミニシリーズ。Harris時代からのTom Sniegnoskiがストーリーを担当する『Vampirella Strikes』はこれと(2022-2023)のものがあるのだが、Harris版のリメイクになるのは後者の方だと思う。TPB:Vampirella Strikes。

Vampirella Feary Tales (2014) 1-5

Vampirella45周年を記念したナンシー・A・コリンズによるアンソロジー。Gail Simone、Steve Nilesら著名なコミック作家や、ジョー・ランズデールなどがストーリーに参加。TPB:Vampirella Feary Tales。

Vampirella: Roses for the Dead (2018) 1-4

全4話のミニシリーズ。『Dawn』の作者Joseph Michael Linsnerが作画を担当し、ストーリーは奥さんの編集者Kristina Deak-Linsner。TPB:Vampirella: Roses for the Dead。

Vampirella: Trial of the Soul (2020)

ワンショットなのだが、『Fable』のBill Willinghamだし重要作かもしれないのでこちらに入れとく。Vampirellaには魂があるのか、というストーリーらしい。

Vampiverse (2021-22) 1-6

全6話のミニシリーズ。様々なパラレルユニヴァースのVampirellaの話らしい。ストーリーは、Tom Sniegnoski、他。TPB:Vampiverse。

Vampirella/Dracula: Unholy (2021-22) 1-6

全6話のミニシリーズ。Vampirellaが新しい夫のMattとのハネムーンにトランシルヴァニアのドラキュラ城に行く。いや、オレも何が何だかわからないんだが、書いてあることをありのままに話すぜ…。ストーリーはChristopher Priest。TPB:未発売。

Vampirella: Year One (2022-23) 1-6

全6話のミニシリーズ。どこのイヤー・ワン?と思ったのだが、上の『Vampirella/Dracula: Unholy』の続編らしい。これもしかしたらTom Sniegoskiの「Vengeance of Vampirella」ラインと同じようなChristopher Priestラインなのかもしれない。とすると2019-21年の第5シリーズからの続き?TPB:Vampirella: Year One Collection。

〇クロスオーバー

Dawn Vampirella (2013) 1-5

全5話。1990~2010年代多くの作品が出版された『Dawn』とのクロスオーバー。この時期『Dawn』はImage Comicsより発行されていたが、現在電子書籍版は発行されていない。ストーリーは『Dawn』の作者Joseph Michael Linsner。TPB:Dawn Vampirella。

Aliens/Vampirella (2015-16) 1-6

全6話。誰でも知っているあのエイリアンとのクロスオーバーなのだが、コミックの版権はDark Horse Comicsが持っており、発行はDynamiteだがカバーには両社のロゴマークが入っている。ストーリーはコミック各社での仕事や児童書の著作もあるCorinna Bechko。TPB:Aliens/Vampirella Collection。

Legenderry: Vampirella (2015) 1-5

全5話。Dynamiteより同年に発行された『Fable』で知られるBill Willinghamの『Legenderry: A Steampunk Adventure』とのクロスオーバーなのだが、『Legenderry: A Steampunk Adventure』自体がVampirellaやRed Sonja、Green Hornetなどのキャラクターが数多く登場する作品らしいので、クロスオーバーというより連動作品なのかもしれない。Willingham作品なら読まねばというところなので、いずれもう少しはっきりしたところもわかるかも。ストーリーDavid Avalloneは、あっ、あのエド・ヌーンのマイクル・アヴァロンの息子?えーと、ハードボイルドオタク個人的にかなりいい情報。TPB:Legenderry: Vampirella。

Swords of Sorrow Vampirella Jennifer Blood (2015) 1-4

全4話。またややこしいものが…。2015年に企画発行されたVampirellaもキャラクターのひとりとして登場する、Dynamiteの女性キャラクター全員集合コミックイベント『Swords of Sorrow』に連動する作品。VampirellaとJennifer Bloodのクロスオーバー作品でもあるのだが、Jennifer Bloodというのはあのガース・エニスが作ったシリーズ・キャラクター。ストーリーはナンシー・A・コリンズ。『Swords of Sorrow』のストーリーはすべて女性作家。Swords Of Sorrow: The Complete Sagaに収録。他はKindle単話販売。

Vampirella/Army Of Darkness (2015) 1-4

全4話。Army Of Darknessというのは日本的には『死霊のはらわたIII/キャプテン・スーパーマーケット』で知られているアレ。Dynamiteがコミカライズの版権を持っていて、結構沢山出ている。ストーリーはMark Rahner。ジャーナリストでトークラジオのホストをやっていたり、『ROTTEN COMICS』なるホラーコミックを出していたり、もう少し調べると色々面白いこともありそう。TPB:Vampirella/Army Of Darkness。

Hack/Slash vs. Vampirella (2017-18) 1-5

全5話。2004年にDevil’s Due Publishingより登場し、現在はImage Comicsが版権を所有している人気ホラーシリーズHack/Slashとのクロスオーバー。Hack/Slashいずれやりますので。ストーリーはShawn Aldridge。各社で活躍しているぐらいしか情報見つからなかったが。TPB:Hack/Slash vs. Vampirella: The Heart Is A Lonely Killer。

Kiss/Vampirella (2017) 1-5

全5話。あのKissとのクロスオーバー?KissはDynamiteがコミカライズの版権というのかキャラクター使用権みたいなのを持ってて、単独のシリーズも出版されている。ストーリーはChristopher Sebela。TPB:Kiss/Vampirella Collection。

Vampirella/ Dejah Thoris (2018-19) 1-5

全5話。エドガー・ライス・バロウズの火星シリーズの火星の王女Dejah Thorisとのクロスオーバー。Dynamiteからは『火星のプリンセス』をベースにした『Warlord of Mars』というシリーズが出ており、そこから独立した『Dejah Thoris』というシリーズもある。ストーリーはErik Burnham。TPB:Vampirella/ Dejah Thoris Collection。

Vampirella vs. Reanimator (2018) 1-4

全4話。映画『死霊のしたたり』シリーズとのクロスオーバー。こちらもDynamiteからコミカライズ作品が出版されている。ストーリーは『Harrow County』のCullen Bunn。TPB:Vampirella vs. Reanimator。

Vampirella/Red Sonja (2019) 1-12

全12話。Dynamiteの看板タイトルのひとつであるRed Sonjaとのクロスオーバー。Dynamiteは2005年からRed Sonjaのコミカライズ版権を持っているので、結構遅いようにも思えるのだが、『Swords of Sorrow』もあったか。看板タイトル同士のクロスオーバーゆえ全12話と力入ってる。ストーリーは『The Vision』などのカラーリストとしても知られるJordie Bellaire。TPB:Vampirella/Red Sonja Vol. 1: These Dark Synchronicities、Vol. 2。

Red Sonja & Vampirella Meet Betty & Veronica (2019-20) 1-12

全12話。Dynamiteの二大看板タイトルがアーチー・コミックとクロスオーバー。いや、こっちもどうすればいいかちょっと困ってる。アーチー・コミックはエイリアンやプレデターともクロスオーバーしてるからそういう類の…、ってそれひどくない?Dynamiteが誇る二大美女だよ?ストーリーのAmy Chuは、Alpha Girl Comicsを運営する女性コミック作家。TPB:Red Sonja & Vampirella Meet Betty & Veronica Vol. 1、Vol. 2。

Vampirella: The Dark Powers (2020-21) 1-5

全5話。…遂にこれとクロスオーバーしてしまったか…。Dynamite作品の中でもとりわけややこしいやつ。2008年にアレックス・ロスとかが中心となって始めた『Project Superpowers』というヒーロー・ユニヴァースの関連。アレックス・ロスの名前を見れば壮大だけど厄介なやつというのはお察しいただけるだろう。いつかちゃんと説明できるよう努力します…。ストーリーはDan Abnett。どうしても「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの」って言われちゃうんだが、本国英国ではもっとすごい!その辺をちゃんと伝えねば。TPB:Vampirella: The Dark Powers Collection。

Vampirella vs Purgatori (2021) 1-5

全5話。もとはHack/Slashと同じDevil’s Due Publishingのキャラクターで、現在はDynamiteが版権を持ちシリーズ展開もしているPurgatoriとのクロスオーバー。古代エジプト出身の悪魔的な人らしい。この辺にも関係あるらしいDynamiteの『Evil Ernie』も早く読んでみたいと思ってるのだが。ストーリーはカナダ出身の作家/アーティストRay Fawkes。TPB:Vampirella Vs Purgatori Collection。

Vampirella vs. Red Sonja (2022-23) 1-5

全5話。Red Sonjaとのクロスオーバー最新作。今度は「vs.」なので戦うらしい。表紙エグっ!ストーリーはDan Abnett。TPB:未発売。

Vampirella vs. The Superpowers (2023) 1-6

全6話(予定)。5月から開始予定の最新クロスオーバーシリーズ。またあれとやるのか?詳細不明だが…。この美麗カバーはちょっとまだクレジットないけど、明らかにあのアダム・ヒューズじゃないのかな?ストーリーはDan Abnett。TPB:未発売。

〇Vampirella: The Dynamite Years Omnibus

Vampirella: The Dynamite Years Omnibusについては、まだ初期のメインシリーズ第1、第2期周辺ぐらいしかまとめられていないが、とりあえず現在までに出ているものと収録作をまとめました。

Vampirella: The Dynamite Years Omnibus Vol. 1

第1シリーズ 1-20話、ワンショットに掲載されたショートストーリー2作

Vampirella: The Dynamite Years Omnibus Vol. 2

第1シリーズ 21-38話

Vampirella: The Dynamite Years Omnibus Vol. 3

第2シリーズ 1-14話

Vampirella: The Dynamite Years Omnibus Vol. 4

ミニシリーズ Vampirella and the Scarlet Legion (2011) 1-5、Vampirella: Red Room (2012) 1-4、Vampirella vs. Dracula (2012) 1-6、Harris時代のアラン・ムーアによる短編”New European”。

〇アートブック

The Art of Vampirella (2010)

こちらはどこ時代などの限定がなく、Vampirella全体の歴史ぐらいから選んで作られたアートブックなのだろうと思う。

The Art of Vampirella: The Dynamite Years (2014)

Dynamite時代のものから選んで作られたアートブック。

The Art of Vampirella: The Dynamite Years Vol. 2 (2023)

Dynamite時代のアートブック第2弾。

Vampirella 50th Anniversary Artbook (2021)

Vampirella50周年記念アートブック。

以上、Vampirella姐さんの経歴 後編 Harris Publications、Dynamite EntertainmentのVampirellaについて、何とか完了です。いやまあ、Harrisの時点で自分の想定している1回あたり5,000字を越えてしまい、まずいなとは思ったのだけど、3回にするのも嫌だったので無理やり続けていたら、結局1万6,000越えになってしまった。Harris、Dynamiteは考えて説明する部分少ないと思ったので、短めでできるかと思ったのだけど…。だが、まあ自分でもあんまり把握できてなかったHarris、DynamiteのVampirellaについて、いくらかわかる感じでまとめられたんではないかと、自分的には満足して…、あー結局読めてないあたりはこうだと思う的な推測多くてまだまだだと思うけど。

こうしてWarren-Harris-DynamiteとVampirellaの歴史を俯瞰してみると、1970年代から現在に至る、ある部分ではビッグ2のそれと重なり、ある部分では少し違うアメリカのコミックの歴史が見えてくる。そしてそれは、パルプとしてのコミックの実相ではないかと。

例えば、特に日本だと、Vampirellaと言えばホセ・ゴンザレス。何かゴンザレスの画をイラストとしてのみ鑑賞するようなことが高尚なVampirellaへのスタンスと勘違いし、「ホセ・ゴンザレス以外のVampirellaには興味がない」などと言い切ることが自身の知識鑑識眼ステータスを誇示することだと勘違いしている層が多々存在するだろう。だがVampirellaはその歴史の最初から今に至るまで、そんな高尚な芸術だったことなど一度もない。Vampirellaとは常にその扇情的な姿でそれほど立派でもないホラーストーリーに現れ読者を楽しませるパルプキャラクターだ。マンガ=コミックは常に読み物であり、読まれてなんぼ。ろくすっぽ読んでもいないレベルで話の部分を見下してるつもりのやつが知識として知ったぐらいのアートを眺めて一番でかい顔をするようなことが許される場ではない。オレはどんな話だろうとVampirellaを片っ端から読んで、ここで一番でかい顔をしてやるからねって話。ちょい毒舌入ったけど、こんくらいいいよね。

なんか馬鹿話する空気じゃなくなったかもしれないけど、せっかく思いついたんで書いちまう。Dynamiteがあっちこっちから版権買ってコミックのシリーズ作ってるのを見て思ったんだけど、日本のマンガ、海外で評価高いけど特にあまり量がないやつ、『アキラ』とか『攻殻機動隊』とか、こっちで新しいシリーズ作るから版権売ってくれぐらいの話結構来て断ってんだろうな、と思った。そこで思いついたのがかの名作『カラテ地獄変』。オリジナルを海外で売るのはかなり難しいと思うけど、キャラクターだけなら結構売れるかも!『Karate Inferno!』Japanから来た一撃必殺のカラテボディーガードNaoto “Fang” Kiba!その師匠世界最強カラテマスターTetsu Daito!さらに一騎ヴァースを広げ、孤高のボクサーJoe Yabuki登場!ブラザー作品から参戦で己のモラルにのみ従うアウトローYouji Himuroとか!え?不敬罪すか…?…すんませんでした。

Vampirella:Dynamite Entertainment

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