Judge Dredd伝 第1回 その1

記念すべき第1回、とか言ってみたところで、自分やこのサイトがそんな大仰なものか?という気分になりやや尻込みしちまうのだが、とにかく最初はジャッジ・ドレッド!まあこれは新しくコミック専門のサイトを立ち上げようと思いついた時点からの決定事項だったのだが。

ジャッジ・ドレッド!英国コミックを代表するぐらいのキャラクターであり、2度の映画化、2019年にはTVシリーズも作られたほどのコミックであるのだが、日本での認知度はあまりにも低い!映画についての日本のWikiでは、一時期原作はSF小説と誤解されていたほどである。この事態を是正すべく、ドレッドについては一から語らねば、と前サイトの時点から常々思っており、思い出したようにいつか「Judge Dredd伝」としてやると言ってたのだが、こうしてコミック専門サイトを立ち上げたからには今度こそやる!日本に一からジャッジ・ドレッドを徹底的に叩き込むものである。そして新サイト最初の記事が、その第1回!とりあえず最初からで申し訳ないんだが、結構長くなるのは見えてるのでこの第1回を全3回ぐらいでやる予定です。

で、具体的にどうやるのかというと、現在42巻まで発行されている『Judge Dredd The Complete Case Files』を1巻ずつなるべく詳細に紹介して行くという方法。この第1回では、ジャッジ・ドレッドとその掲載紙である2000ADについての概要というところから始める。

概要

■2000ADについて


2000AD第1号 Wikipediaより

2000ADは、1977年に創刊され、現在も続いている英国の週刊コミック誌。ジャッジ・ドレッドはその第2号から連載が開始されている。1980年代から起こりアメリカのコミックを大きく変革させた英国作家の台頭、いわゆるブリティッシュ・インヴェイションの代表的作家であるアラン・ムーア、グラント・モリソン、ガース・エニスらは、この2000ADの出身である。

デジタル版のみでプリント版の現物を見たことがないのだが、単行本などを見ると、版型は縦が日本のマンガ雑誌と同じB5サイズで、横幅が少し広いというものらしい。内容はSF、ファンタジー、ホラーといった傾向で、全体36ページ前後(プリント版は外部の広告なども入ると思われるのでもう少しあるかも?)。過去のものについては不明なのだが、近年の構成では、巻頭にドレッドが7ページほどで、その後4本の連載作品が5~6ページずつ続く。ドレッド以外の連載作品は、基本的には春夏秋冬の四半期ごとに入れ替わる。


2000AD最新2326号
2000AD公式ホームページより

かつて私もこの2000ADの実像的なものを伝えたいと頑張り、四半期ごとに分け連載作品を紹介するというのを、多分3年分ぐらいはやったと思うんだが、2000号記念号まで行ったあたりで諸般の個人的事情で力尽き、あと読んでるけど放置状態が続いとる。そちらの方は、興味があれば前サイトの2000ADリンクから見てもらえれば、というところなのだが、やはりそれを続行するのは少し難しいにしても、新しい作品については個別にでも何とか紹介して行かねば、と思うところである。

長年遠い英国ゆえ縁遠かった2000ADだが、近年のデジタル化により、WEBショップまたはアプリから最新号を発売日に入手できるようになっている。2000ADショップでは、本誌と月刊誌JUDGE DREDD MEGAZINEの他にも、他では電子書籍版のない単行本なども多数販売されている。

2000AD公式ホームページ

■ジャッジ・ドレッド誕生秘話

ジャッジ・ドレッドは、英国の作家John Wagnerと、スペイン出身のアーティストCarlos Ezquerraの二人により創造された。と、公式でどこでもまずそう書かれるのだが、内実は少し大変だったらしい。2000ADの初代編集長は、当時もすでにコミック作家だった英国コミック界の巨匠パット・ミルズ。ミルズは当時から活躍中だったこの二人に依頼し、新しいタイプの未来警察という方向で構想を練る。しかし、二人のイメージとミルズ及び出版社サイドの考えとの間に齟齬が生じ、意見が対立。結果二人は降り、ミルズはEzquerraのデザインを使い、他の作家、アーティストに制作を依頼し、ミルズ自身がストーリーに手を入れるという形で、当初の予定より遅れ、第2号からの連載となったということ。

しかし、2000ADの創刊当初はずいぶん大変だったようで、このほかにも創刊号より始まった『Invasion!』では、イギリスがソ連に侵略されるというストーリーで進行していたものが、直前になって出版社側からソ連にストップがかかり、急遽架空のVolgan共和国だか帝国だかをでっちあげることにもなった(詳細を知りたい人は前サイトのこちらの記事を参照のこと)。その辺の事情についても詳しく書いているのかもしれないミルズの著書『Be Pure! Be Vigilant! Behave!: 2000AD & Judge Dredd: The Secret History』が、彼自身の個人出版社であるMillsverse Booksより出版されてるので、ああ、まずワシが率先して読まんといかんと思ってるよ。

そんなWagnerとEzquerraだったが、その後しばらくして和解して復帰。ジャッジ・ドレッドの中心的作家・アーティストとしてシリーズを牽引して行くこととなる。ところで2000AD出身の中でも有名なアラン・ムーアとグラント・モリソンの二人は、実はジャッジ・ドレッドにはほとんど関わってはいないのだが、ガース・エニスに関しては、一時期、ドレッドの歴史の中でも一貫してメインライターであったJohn Wagnerを抜いたとも言われる作品群を残している。近年のインタビューでエニスは、俺は奴のことが好きすぎてもうドレッドは書けないとも語っていたのをどっかで読んだな。

■Judge Dredd The Complete Case Filesについて

ここで、これから紹介する単位になる『Judge Dredd The Complete Case Files』について。1巻当たり約50話前後が収録されていて、週刊の2000ADとしては大体1年分。但し、1990年からは月刊誌JUDGE DREDD MEGAZINEも発行されるようになり、そちらの作品も収録されているようなので、この限りではないのかもしれないが、今んとこまだそこまで読めてないんでわかりません。米版と本国英版ではカバーのデザインが違っていて、最初に出したでかく顔がデザインされてるのは米版。本編紹介のところで使う、Kindle版は、英版の方のデザインとなります。

ちなみにアマゾンでJudge Dredd検索すると、こちらの黒いシリーズも出てきますが、こちらは代表的なストーリーラインをまとめて単行本化したやつなので、一から読みたいとご希望の場合はお間違いのないよう。

■キャラクター、設定

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初期のドレッド

ジャッジ・ドレッドの物語は2099年より始まる。過去の核戦争により地球は荒廃し、生き残った人類は地球上の3か所、北米大陸東海岸のMega-City One、西海岸のMega-City Two、そして旧ロシアのEast-Meg Oneに居住している。Mega-City Oneの高い防壁の外には、西海岸Mega-City TwoまでCursed Earthと呼ばれる放射能に汚染された荒廃した地が続き、そこには放射能によるミュータントたちのみが辛うじて生きている。

そんなギリギリの状況で、都市の秩序を守るため産み出されたのがジャッジ・システム。警察と裁判官の権限を有する彼らは、いかなる権力からも独立し、法にのみ厳正に従う。

というのがジャッジ・ドレッドの世界観の設定。その後、あとから開発再建されたのか、後付け設定なのか不明ですが、人の居住できる範囲は増えています。まずアメリカテキサスは、残った人がいくらかまとめて住んで町ぐらいの物から始まったということかもしれませんが、近年ではジャッジ・システムを持った都市になり陰謀が勃発していたり。あと、ヨーロッパはまとめた感じで残っているようで、その他イギリスとアイルランドは現存しています。ほかにHondo Cityというのがあり、これは日本のようだけど、まだそこまで読めてないので不明。

これがかなり極端な警察国家だというのは、初期のころから批判されているようだ。しかし絶対的に正しく非の打ち所がない人間が、あらゆる権力を越えられる権限を持って悪を成敗してほしいとかいうの、誰もが持つ願望じゃないだろうか。だがそんな理想は諸刃の刃だ。主人公に少しの隙でもあればたちまちに崩れ始める世界を支えるため、警察国家を正当化する言い訳が並べられ始め、いつの間にかそれは本当に警察国家を礼賛する歪んだ物語へと変わり果てていることだろう。例えば底の浅い極道ストリーみたいにさ。こんな設定で物語を作ろうと思ったら、主人公は精神的な意味でも肉体的にも鉄のような人物でなければならない。そうして作り上げられたのがジャッジ・ドレッドという人物だ。

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最近のドレッド
2000AD2324号
2000AD公式ホームページより

ジャッジ・ドレッド、フルネームジョセフ・ドレッドは、2066年に尊敬されたチーフジャッジFargoのDNAからのクローンとして、双子の兄リコ・ドレッドとともに生まれる。兄のリコは、ドレッドの最初の映画に出てきた奴。その話はこの巻に登場するので、後ほど。その他の設定についても、関連エピソードと一緒に説明した方がわかりやすいので、しばらく先になるかもしれんけど、その都度ということで、ここではそういう設定ぐらいに理解しといてください。

前述のとおり、ジャッジ・ドレッドの物語は2099年から始まっており、2066年生まれのドレッドは当時33歳。そしてドレッドの物語世界はサザエさん型ではなく、読んでる方と同じに時間が流れているので、そこから46年が経過している。ということは現在ドレッドは79歳。だが現在もドレッドはバリバリ現役最前線で犯罪と戦うジャッジである。成熟や安定で、後ろからナゾトキに専念するようなものではなく、今でも苛烈な暴力と対峙し、時には死にかけるぐらいの目に合う。

舞台は科学技術が発達した未来。肉体強化維持などのこじつけはいくらでもできるだろう。だが彼がそんな年になってもそこに立ち続けられる最大の理由は一つ、ジャッジ・ドレッドはスゴイ奴だからである!

これを鼻で笑える貴様はまだドレッドを知らないからだ!ジャッジ・ドレッドの物語はその主人公について、誰にでもそう思わせるだけの説得力がある。この先ドレッドが100歳になろうが、200歳になろうが、犯罪最前線で戦っているだろうことを我らドレッドファンは確信している。あっ、でも今回のために久しぶりに最初から見返して気付いたけど、ドレッド初登場33歳にしては既に結構オッサン臭かったかも…。

ジャッジ・ドレッドの世界のジャッジ・システムには、実は巡査部長、警部といったような明確な階級は存在しない。言ってみれば、究極の実力主義というところ。唯一頂点と言えるのがその首長であるチーフジャッジであり、最も危険かつ困難と思われる任務にはチーフ自らドレッドを指名し、必要と思われればドレッドが信頼できるメンバーを選び、チームが組まれるという形。

明確な階級というものはないが、ジャッジはそれぞれの資質能力に合わせ、様々な部署に配属されている。例えばスピンオフでも有名な、ジャッジ・アンダーソンの所属する超能力課など。教育機関としてジャッジアカデミーがあり、それを卒業した後は見習いジャッジとして勤務する期間もあるのでそこで振り分けられるのだろう。

ところでこれだけの経験実績があるドレッドが、なぜチーフジャッジではないのかという疑問を持つ人もいるかもしれない。実際にはこれまでMega-City Oneを揺るがすほどの大事件・災害の後、新たなチーフを選任する必要が出た際に何度も打診されているのだが、その度に頑として断り続けている。自分は現場にこそ必要な人間だ。それがジャッジ・ドレッドである。

えーと、まだ概要までしか終わってないのだけど、今回はここまでで次回その2に続く。本当は本編紹介の序盤ぐらいまではいくつもりだったのだが…。一応一回の投稿、5000字を目安としているので。どっかで区切りをつけずなし崩しにしてると、目標である定期的な更新というのも難しくなるからね。しかしこの分だと見直しが必要になるかも、など先行き不安だが、とりあえずこんな感じで頑張ってみようと思います

全3回ということで、アマゾンへのリンクは今回は1~15巻まで。しかし、3回でちゃんと終わるんかな…?

Judge Dredd The Complete Case Files 01~15

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