Revere / John Smith+Simon Harrison

鬼才による英国コミック屈指のカルト作!

今回は英国の鬼才John Smith/Simon Harrisonによる『Revere』。1991年から1994年までに断続的に2000ADに掲載され、かつてプリント版が出たのかどうかよくわからないのですが、2021年にデジタル版のみとして復刻発行されました。

遂にこれについて書く時が来たか!

John Smithのかなりいかれたストーリーに、Simon Harrisonの”悪夢的サイケデリック”などとも評されるかなりヤバい作画!表紙の画像を見て、なんかよくわからんがイメージ画的なものと思った人もいるかと思うが、中身もこんな感じ、いやもっとすごい。英国コミック屈指の怪作…、あ、でも英国かなりヤバい作品多いからな…。

Revere

この作品はBook I (1991年)、Book II (1992年)、Book III (1993-94年)の三部に分かれており、各部が2000AD連載時の1話6ページの6話で構成されている。

とりあえずBook Iをなるべく詳しく紹介し、Book II、Book IIIは簡単にと考えているのだけど、かなり観念的だったり幻想的だったりする作品ゆえ、話がどこへ向かうのかある程度書かないと内容がかなりわかりにくくなるかと思われる。そんなわけで場合によってはネタバレとなる場合もありうるのでご注意ください。

■設定・世界観・キャラクター

かなりわかりにくいうえ、ほぼ説明のない『Revere』の世界観などについて、若干推測を交えながらぐらいで、いくらか先にまとめておきます。

時代は、未来。どのくらいの未来なのかは不明だが、世界は破滅に瀕し、ほとんどが砂漠化しているらしい。舞台となっているのは、ロンドンとその近郊なのだが、都市がどのくらい残っているのかは不明。ロンドンだと言っているだけど、何か有名な建築物などが出てくることはなく、ほとんど廃墟で、商売も非合法な感じだが、そもそも法が維持されているのかもよくわからない。建物の屋上というようなところから見ると、見渡す限りの砂漠が広がっているぐらいだが、都市がこの時点でどのくらいの規模なのかもよくわからない。

車両などについては、軍用ジープ的なものからデザインした感じのものがいくらか出てくるが、道路を多く通行しているような様子はない。砂漠を通行するのが目的というところか。

よくわからないだらけで申し訳ないんだが、そもそもその都市部の方にそんなに行くわけじゃないので。だが、文明の程度というのを見るには、そういった町なり都市なりの様子で説明するというのが、常道であるし、他はひたすら砂漠とか、なにか亜空間異次元的世界しか出てこない。

主人公Revereは、多分15~18歳ぐらいの少年。姓なのか名前なのか通称なのかは不明。登場時から魔法・オカルト的な力を持っている。そういう能力が一般的な世界ではないようだが、彼がどのようにしてそのスキルを手に入れたかなどの説明はない。

母親と同居しているが、母親は首だけ。空中を浮遊している。これについても説明はない。

Revereに敵対するものとして、何か妖怪・妖魔的なものについてはその都度説明するしかないのだが、実態のあるものとしてLanzersと呼ばれる組織がある。無法状態となった世界で略奪を繰り返す、完全に悪の組織。ヘルメット他重装備で固め、軍隊的に組織されている。組織の頂点にBaronと呼ばれる人物がおり、更にその上がある感じがセリフの中などに見られるのだが、それ以上の規模については不明。巨大パーキングビルを基地として使っており、内部には高度な科学設備も見られる。

かなりわかりにくそうなんで事前説明が必要だと思ったのだが、それすら困難になっとるな…。とりあえずこのくらいで、後は要所要所で説明して行ければと思います。

■Book I

[第1話]

『Revere』より 画:Simon Harrison

「午後に向かい紫外線照射は減少すると見られます。いずれであれ、気象局は日没までの対紫外線ゴーグルと防護スーツの着用を推奨しています。」

一面の砂漠の中に屹立する、使用可能なのかすら怪しい受話器の外れた公衆電話のスピーカーから気象メッセージが流れる。
その電話に一つの人影が近づいて来る。
「あの小僧は何をしてるんだ?」
そこから少し離れた砂丘の下でに隠れ、三人のLanzersのメンバーがスコープを使い様子をうかがっている。
「何かの取引か?こんなところまで来るとすれば、重要なもんだ。薬品の類とか。」
監視を続けていると、案の定、大きな荷物を持った男が近づいてきて、その人物に包みを渡す。
「よし、奴を追え。殺すなよ。包みの中身を確かめるんだ。」
三人は隠してあった車に飛び乗る。

「俺たちの目を逃れて遠くに行けるはずはねえ。探せ。」
車内のひとりが、ためらいがちに話し出す。
「なあ、ヤバい魔法小僧の話を聞いたことがあるんだが、もしかしてアイツ…。」
「いたぞ!」
廃墟のベランダらしき所に立ち、何かを撒いている人影。近くを飛び交うコウモリへの餌か?
男の一人が銃を発射!ベランダの人影が跳ねる。
「やったぞ!」
車はその建物に近づいて行く。

「お前らはここに来るべきじゃなかったな。」
銃弾に倒れたと思った人影がそこにしゃがみ込み、彼らを見下ろす。無傷だ。
「お前は…!」
彼こそが話に出てきた”魔法小僧”、Revereだった。
「逃げろ!」
素早く動いたRevereの左手が男のひとりに何かを投擲し、ひるんだすきにベランダから飛び降りる。
やけくそで襲い掛かってきた男の顔面に、口から毒液を吹きかける。
「うわああっ!顔が焼ける!!」
「た、助けてくれ…!お前を襲おうと言い出したのは俺じゃないんだ…!」
ひるんで後ずさる男に近づくRevere。その後ろから残る一人が忍び寄り、殴りかかろうと銃を振りかざす。
だが、それより早く振り向いたRevereの右手が男の腹に突き入れられる!
引き戻された血塗られた右手は、それぞれの指が鋭利な刃物のように変形していた。
「こ、殺さないでくれ!持ってるものはみんな持ってっていいから!ほら!水に…薬もある!頼む…。」
必至に命乞いをする男。だがRevereの姿はいつの間にか周囲を覆う砂煙の中に消えていた…。

Revereというキャラクターの紹介回。画を見せないとわかりにくいかとも思ったけど、これから紹介したい画も多いので。

[第2話]

-坊や、危ないところだったよ。Lanzersの奴らドラッグ密売人でも、隊商でもなんでも襲うんだから。-
「大丈夫さ、母さん。俺は六つの時から一人で生きてきたんだ。」
浮遊する首だけの母親と話すRevere。
「何かいいものを買ってきてくれたのかい?」
「ゾーンのレザーマンから種を手に入れた。メロン、グァバ、タマリロ、パンノキ…。」
「イチゴは見つからないのかい?生きてた頃にはイチゴが一番好きだったんだけど。」
「あれは絶滅したようだな。」
「もうすぐ暗くなる。俺、出かけるところがあるんだ。」
「あんたは父親にそっくりだねえ。あの人もいつも行くところがあるって。」

自室で蓮華座を組んだRevereは浮遊し、そして幽体離脱する。
肉体を離れたRevereのアストラル体は、屋根を抜け空へと飛んで行く。街の狂騒を抜け、Lanzersの間を通り抜け、砂漠を超える。
そこに砂に描かれたアストロロジカルシンボルを見つけ、近づいて行くと、その中央には奇妙なピエロと悪魔の中間のようなマスクを被った男が座り、Mr. Jackdawと呼ぶカラスに向かって、酒を飲みながらこのような時代に生まれた不運を愚痴っていた。
更に進むとRevereのアストラル体は不意に多くの手に掴まれ、そのまま悪夢のような館へと引きずり込まれて行く。

『Revere』より 画:Simon Harrison

その奥では背後の影と絡まったように座り、その前に石の小山を積み上げた隠者が待ち受けていた。
「ようこそCrooked Wombへ。水瓶座。」
「人違いだな。俺はふたご座だ。」
「いや、お前は水瓶座だ。待ち望まれていた世界の脈を探る指。」
「明日、もう一度ここに来い。今度は肉体とともに。」

一気に難易度が増してしまったのだが…。途中のカラスと話してる男も、後に重要となるので書いとかないわけにいかんし。

[第3話]

強制的にRevereは自宅にある肉体へと戻される。あれは何だったのか?実際に「肉体を持って」行ってみるしかない。
砂漠を渡り、その地まで行くための準備を整え、Revereは家を出る。
家の前では見知らぬ少女が彼を待ち受けていた。
私はChloe。トレーディングの手伝いなんかをやっているの。君とは一度会ってるのだけど、多分憶えていないよね?君のことが気になっていて、住んでいるところを突き止めちゃった。少しお話しできないかな?
…今は急ぎの用事があるんだ。また次の機会に。

注意:…とかいうほどのことではないのだが。ここで出てきた少女Chloeも、後に重要になるキャラクターなのだが、この初登場シーンをSimon Harrisonの”悪夢的サイケデリック”画で見ると、こ奴は何か隠した目的があってRevereに接近してきた謎の女ミネフージコジャンルに違いないと思ってしまう。だが、実は普通の思春期ラブアプローチ。Revere君もかなり童貞対応。まあこの”悪夢的サイケデリック”画ではほぼ100%の人が深読み以前に誤解してしまうと思うのだが。

多分あの場所までは二日はかかるだろう。Revereは砂漠を走り出す。
途中、アストロロッジャーが座っていた場所で一休み。さらに砂漠。
二日目。ついに水が尽きる。そのころから彼の頭の中には奇妙な音楽が流れ始める。
幻聴・幻覚で譫妄状態になり、今進んでいる理由も曖昧になりながらRevereはその音楽へ向かってひたすら進む。
そこに隠者はいた。
そしてRevereの意識は途切れる。

[第4話]

「三日。どうやら彼は生き延びるようね。」
Revereが目を覚ますと、ベッドの横には彼を看病していたらしい、ボディペインティングのようにしか見えない奇妙な服をまとい、背に蝶の羽を広げた長髪の女が座っていた。
「これはハーブ。サンドマスクを作る。あなたはその後ろに顔を隠すことでCrooked Wombに入れる。」
「でも俺は一度そこへ行った…。」
「それはあなたの夢の中で。今度は魂ではなく、肉体をもってそこへ行く。」
「明日、そこへ連れて行くわ。」

そして翌朝、RevereはCrooked Wombへ行き、隠者と再会する。石の床に裸足で足を組み、石を転がしている彼女に、何をやっているのかと尋ねる。
「私は物語を綴っている。」
「でもそれはただの石だ。」
「ではお前は何者だ?聖位を剝奪された僧侶の息子、詩人、黒魔術師、死から生まれた殺人者、数えきれないほどの呼び名がある。」
「だがそれらはすべて意味を持たない。唯一重要なのは内なる真実である水瓶座。」
「すべての知識は個より始まる。すべての信仰は自身の中からのみやってくる。」
「真の意味では、人、お前は石と何ら変わらない。」

『Revere』より 画:Simon Harrison

「理解できない。この全てにはどんな意味があるんだ?俺は何をすればいいんだ?」
「お前は世界を救わなければならない。」
「お前は世界を破壊しなければならない。」

「来い。この館の多くの驚異を見せてやろう。」
彼らの向かった先にはこの世の様々な歪んだ概念が具象化したような生物ともオブジェとも判別がつかないようなものたちがひしめいていた。
そのドアを通れ、水瓶座。針のドアを。この歪んだ館の異端審問官を。

鎮静の門衛。すべてを俳句で答える。問いを発してみよ。
「俺が知りたいのは、この狂ったすべてが俺をどうしようとしているのかということだ。」

-縄より飛び 内なる己に溺れよ 雷ぞすべて知る
-王の雨のごとく降れ 明示された運命に口づけし 熱き慈悲に刺されよ

「ありがとうよ、グレートな助言だ。すべてが明快になったぜ。」
「準備ができたなら、我らの旅の最終段階へ移る。外へ出よう。よいな?」
「ああ、これ以上物事をややこしくもしようがないだろう。」

嵐の中心とならねばならない。答えはそこにある。恐怖に竦んではならない。それを受け入れよ。
石となれ。外は鎮まり内は不動に。
ここでは世界のすべてが混沌。
ここが偉大なる真実。
石の門の上に立つRevereと隠者。
雷がRevereを撃ち、その姿が消える。
「己の答えを見つけよ、水瓶座。世界を救わねばならない。」

[第5話]

Revereは絶えず雷が降り注ぐ荒野のような場所を、独り歩いていた。
「おい!誰か!誰かいないのか!?返事をしろ!」
「そんなに叫ばなくても聞こえるわ。」
靄の向こうに人影。声の主は裸で目隠しをして、奇妙な時計の螺子を巻き続けている女だった。
「ああ、すまない。ここで誰かに会うはずでずっと歩き続けているんだが、それが誰なのかすら知らないんだ。ここを取り仕切っているのは誰だか知ってるか?」
「彼らよ。」
女が指さすと、その地平から雷が集まり編み上げられるように巨大な手が持ち上がり、やがて白と黒の4体の異形たちが絡み合った群体が現れる。
「ようこそ。俺たちが混沌だ。」

『Revere』より 画:Simon Harrison

「そこに横たわれ。」
言われた通り地面に横になるRevere。
「お前はここにある決意のために来た。空気の子よ」
「水の子よ。」
「お前の決定が全てを変える。」
「またか。なぜどいつもこいつも俺に謎かけのようなことばかり言ってくるんだ?」
「思い出せ、これまでに言われた警告、助言。」
「徴を読み取れ。目を開け。」
Revereの前にこれまで言われた数々の謎の言葉が浮かび上がる。

「俺は…、何かのパズルの鍵なのか?」
「お前は殉教者であり、生贄だ。世界の全ての罪を負って苦しまなければならない。」
「お前は世界を救うために死ななければならない。すべての惰弱と残酷からの解放のために。」
「何だと?」
「塔から飛ぶのだ」
「信頼のための跳躍だ」
「縁から踏み出せ。」
「さあ、この阿呆が、何を躊躇ってる?」
Revereの目の前に底の知れない断崖が口を開く。
「跳べ。」

[第6話]

「跳べだって?何を言ってるんだ?」
「悪いが俺は世界の救世主なんかになるつもりはない。俺が本当にここから身投げすると思ってるのか?」
「もう手遅れだ。お前は選ばれたのだ。」
「お前の弱さがお前を引きずり落とす。」
「見ろ。来たぞ。」
彼方から彼に向かって醜悪なモンスターの群れが押し寄せて来る。
「あれらはお前の弱さが具現化したものだ。嫉妬、独善、お前がこれまで発した間違った言葉。すべてがお前に戻ってきたのだ。」

『Revere』より 画:Simon Harrison

そしてRevereの前に、彼に向かって愛を囁く、醜怪な悪夢のような女の異形が現れる。Miss Squeaky Clean。
「何を見てるんだい?」
Squeakyは目隠しの女をその爪で引き裂く。
「やめろ!」
「何をやってるんだ。そんな女に何の意味もないぞ。跳べ。」
「あんたは深淵の縁に立ってるんだよ、魔法坊や。聞こえるだろう、奴らの声が。ほら、すぐに来るよ。」

そして押し寄せたモンスターたちが彼の身体を覆い尽くして行く。
-指が頭の中に入ってくる
-熱した針のような
-錆びた針のような
-尖筆が俺の意識の溝を抉り
-俺はスローモーションで砕けるガラスのように
-俺は世界を造り直す
-俺は…

意識を失い、地面に胎児のように丸まっていたRevereを見つけたのはアストロロッジャーだった。
「彼は再生の過程にある。どうやら高次の子宮から送られてきたようだな。」
「自我・エゴ・死・再生。四分子は奴らのいつものやり方だな。」
アストロロッジャーはRevereを家へ連れ帰り、母親と話す。
「彼は激しいショックを受け、回復にはしばらくの時間が必要だ。その後はハーミットアーツの会得が望ましいだろう。」
「あんた急ぎ過ぎだよ、クレージーマン。坊やは地獄から帰ってきたばかりなんだ。温かく手美味しいものを腹に入れるまでは何処にも行かせない。」
「それからお前は世界を救うんだ。」

ここでBook I終了。結構英語表記のままのものとカタカナ表記のものが混在してしまって申し訳ない。基本固有名詞は英語表記でいいやと思っているのだけど、ここはカタカナにした方がなんとなく意味が伝わるかとかやってるうちにゴチャゴチャになってしまった。
かなり頑張ったのだけど、それでもわかりにくいかと思うので今一度内容を要約しておく。
主人公Revereは幽体離脱でうろついているうちに謎の異界に魂を引っ張り込まれ、お前は世界の救済者だと告げられる。生身の身体でもう一度そこへ向かい、再びその異界で色々と意味不明のことを告げられたのち、更に上の異界へと送られ、救世主となるための試練的なことを強制されるが果たせず、その反動でボロボロにされて戻ってきたというところまでがBook I。
続くBook II、Book IIIはもう少し簡単に。

■Book II

アストロロッジャーは、その後もRevereの家にとどまり、回復したRevereに修行を付ける。彼の指導により、Revereは精神的にも体力的にも強化されて行く。
だが、遂にLanzersがRevereの住処を突き止め、大人数の部隊を編成し彼の家を強襲する。アストロロッジャーは命を落とし、Revereは母を残したまま脱出する。

『Revere』より 画:Simon Harrison

この辺からRevereに執着するLanzersの部隊長格の人物としてKnealというのが頻繁に登場してくる。実はBook I第1話でRevereを襲う三人組の中に一度そう呼ばれている者がいるのだが、同一人物なのか不明。その時は明らかに末端の雑兵だし。もちろんこの画ではそんな人物の判別など困難というより不可能だし。

失意のまま、街のバーに立ち寄ったRevereは、以前家の前で会った少女Chloeと再会する。
Chloeと暮らし始め、安らぎを得たRevere。だがそれも束の間。彼らの愛の巣をMiss Squeaky Cleanが襲撃し、Chloeは地獄へと連れ去られる。
幻想の魔物たちを追って走るRevere。その前にLanzersの本拠である巨大な駐車場タワーが現れる。

そのまま建物に入ってくるRevere。向かって来る者、目に入った者を次々に殺しながら上に登って行く。
屋上。一人だけになりRevereと対峙するKneal。銃弾を撃ち込んでも痛みすら感じていないRevere。腕を折られこれまでと観念するKneal。
だが、その時そこに舞い込んできた蝶にRevereは目を止め、それを追い始める。
そしてそのまま、空中を歩くように屋上から足を踏み出す。

『Revere』より 画:Simon Harrison

■Book III

生とも死とも判別できない新たな異界に降り立ったRevere。
最後の試練となる敵を打ち倒し、そこでアストロロッジャーと再会したRevereは、夢の世界に蓄えられた膨大な水へとたどり着く。
そこを泳ぐクジラと対話し、その水を開放することで世界が救われると知る。更にその海の中にChloeの魂も発見する。
やり残したことは一つ。Revereは地上に戻り連れ去られた母の首を取り戻すためにLanzersの本拠へと向かう。

『Revere』より 画:Simon Harrison

もはや彼を阻める者など存在しない。母の首を取り戻したRevereは夢の世界の水を開放する。
激しい雨が降り注ぎ、全ては洗い流され、全てがその中に溶け、そしてすべてが破壊され、世界は再生される。

なんだかごちゃごちゃした、時にはさほど深い意味はないようなあれこれをちゃんと書こうとするとかなり大変だが、色々省略したあらすじにするとかなり短くなるような作品の典型なのかも。
Book Iについてはかなり頑張ったが、それでもちゃんと伝わっているのか今一つ自信がなかったり。しまいにはちゃんと伝えるにはすべての画を見せてすべての文章を書いて、ぐらいの気分になってきてしまったりという感じ。まあ何パーセントかでもいいから伝わって興味を持ってくれる人がいればと思う。
結局こういうマンガって、謎の神秘思想を世に広めたいというものでなければ、何か誰も見たことがないような作品を作り上げようというところから始まるのではないかと思う。そしてそれは実現できているはずだ。
見たこともないようなマンガを見たい、こんなマンガがあるのかと驚きたい人にはお勧めの、英国コミック屈指のカルト作品である。

作者について

■John Smith

この人とか日本では一番知られてないあたりではないかと思うんだが、なんか平凡すぎる名前なんでお友達にジョン・スミスさんいる人は結構いるかも。
1967年生まれで、1980年代半ば頃からコミックのストーリーライターの仕事を始める。なんか現在はほぼ引退状態のようなので、もう一回りぐらい年上なのかと思ってた。ショーン・フィリップスのデビュー作品のストーリーを担当しているわけだけど、2歳年下。
代表作は2000ADの『Indigo Prime』と『Devlin Waugh』というところなのだが、また時空間やら多次元宇宙やらで少々ややこしいので説明はいずれまた。これらの作品でSmithiverseと呼ばれる作品内世界を構成していたりもする。
彼の記述スタイルにはイアン・シンクレアやウィリアム・バロウズからの影響があると言われている。イアン・シンクレア知らなくて調べてみたら作家/映画監督ということで、映画なら日本でも結構情報あるかと思ったが、ほぼなかったな。映画の方はかなり観るの難しくなってるけど、著作の方は手に入りやすいのでいずれ読んでみたい。イアン・シンクレア検索するとアメリカの声優の人ばっか出て来るけどそっちじゃないので。
その他の影響を受けた作家としてはマイケル・ムアコック、エドガー・ライス・バローズ、アラン・ムーア、ノエル・カワードということ。
今更だが、John Smith最初これでよかったのかな?と思ってしまっていたりするが、これから他の代表作も頑張って紹介して行きますので。

■Simon Harrison

調べてみたら、この人もかなりややこしい。
生年などの情報は見つからなかったのだけど、1980年代後半ぐらいから2000ADなど英国のコミック誌でアーティストとして活動を始める。その後、あまりよくわからないが多分アーティスト活動的なものを経て、2007年からはアーティストCarolin BeckerとのコラボレーションBECKERHARRISONとして活動。アートを通じて第三世界の社会・環境問題について訴える、というような活動が主らしい。マーシャルアーツのインストラクターの資格も持ち、クリミア、イスラエルなどの戦争地帯でのボディーガードなどの経験もあるとのこと。現在の主な仕事はTVプロデューサー。
いやはや、ペイズリー着たサイケデリックな髭仙人とか出て来るかと思ったら…。

BECKERHARRISONホームページ

Revere / John Smith+Simon Harrison

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