Black Hammer 第3回 / Jeff Lemire + Dean Ormston

彼らは何故閉じ込められたのか?農場の真相!

当方で月刊ペースでやってるJeff Lemire/Dean Ormstonによる『Black Hammer』の第3回です。前回のTPB第2巻『Vol.2 The Event』に続き、今回はTPB第3巻『Vol.3 Age of Doom Part One』について紹介して行きます。

『Part One』というタイトルから察しがつくように、新章『Age of Doom』はここから続きがあり、全2部に分かれています。今回の『Part One』ではその前編として、いよいよ彼らがこの農場と町Rockwoodを含む境界内に閉じ込められた真相が明らかになります!

町の住人とそれぞれが育んできた人間関係が破綻し、落胆沈滞する農場の面々。一方、独自に調査を進めていたLucyは、父の遺したハンマーを手に取ることで、Black Hammerの力を手に入れ、消されていた記憶も取り戻す。「すべて思い出した!」そう告げるLucyだが…?

Black Hammer 第3回

Vol.3 Age of Doom Part One

■キャラクター

農場(ヒーロー・チーム)
  • Black Hammer:
    最強のヒーロー。現在は死亡。

  • Abraham Slam:
    元筋肉系ヒーロー。対外的には農場の家長を装っている。

  • Gail:
    見た目は9歳の少女だが、実は…?

  • Barbalien:
    火星人。変身能力で普通の地球人を装う。

  • Colonel Wierd:
    あらゆる時空間にランダム不連続につながるパラゾーンの住人。

  • Talky-Walky:
    Colonel Wierdとチームを組んでいたロボット。性別は女性。

  • Madame Dragonfly:
    一応ヒーローチームの一員だが、色々謎の魔法使い。

  • Lucy Weber:
    Black Hammerの娘。Spiral Cityの新聞記者として、父の行方を捜していたが、農場に送られてくる。

Rockwoodの住民
  • Tammy Trueheart:
    町のダイナーの女主人。保安官Earlと離婚。Abrahamと関係を持つ。

  • Earl Trueheart:
    保安官。別れた元妻Tammyの関係でAbrahamを憎んでいる。

  • Quinn神父:
    町の教会に新しく赴任してきた神父。Barbalienが想いを寄せている。

その他
  • Lonnie James:
    ”待合所”のバーの経営者。

  • Jack Sabbath:
    かつてヒーローチームに所属していた亡者。

■#1

上にも書いたが、ここからは『Age of Doom』という新章になり、話数も#1からになる。なんか強引にサブタイトルとみなしていたのも、ほぼなくなる感じ。

父を継ぎ、Black HammerとなりAbraham達の前に現れたLucy。Colonel Wierd、Madame Dragonflyもその場に現れる。
「ちょうどよかった。私はこれから私が知ったことを話すところよ。私はここがどこで、どうすれば帰れるかもわかっている。」
「私は…」
SHRACK!!
話し始めたところで、Lucyの姿はかき消える?

『Black Hammer Vol.3 Age of Doom Part One』より 画:Dean Ormston

驚愕する面々。
「落ち着け、みんな…。」辛うじて言うAbraham。
「今、彼女の跡を魔法で追ってみているわ。」とMadame Dragonfly。
「こんなはずじゃない…これは…間違っている…」狼狽え始めるColonel Wierd。
意味不明のことを呟き続けるWierdに、はっきり説明しろと問い詰めるGail。
魔法による追跡が途切れた、と告げるDragonfly。
瞬間的に現れた希望が、意味も分からないままに消え去り、一同は落胆して戻って行く。

農場から消えたLucyは、見たこともない部屋のベッドで目覚める。かつて誰かが使っていたが、今は廃屋となっているような一室。
部屋を出てみると廊下には下へ向かう階段。それを降り、ドアを開けるとテーブルが並べられたバー?
バーカウンターの中には、スキンヘッドに身体の多くの部分にタトゥーを入れた男。男はLonnie Jamesと名乗る。
「遅かったじゃねえか。あと10分で開店だぞ。なかなかイカス格好だ。デカいチップがもらえるぜ。」
「ここは何?Abeや他のみんなはどこ?」
「ここは待合所だ。Abeなんて奴は知らねえが、他にいろんなやつを知ってるぜ。」
要領を得ない答えに怒り出すLucy。だが、その時ドアが開き客が次々と現れだす。
「俺たちはみんなはぐれ者。お前さんもその一員ってわけさ。」

『Black Hammer Vol.3 Age of Doom Part One』より 画:Dean Ormston

Abraham、Gail、Barbalien、Dragonflyの四人は、キッチンのテーブルに集まり、事態を再検討する。
やはり自分たちの希望となるのは、Lucyだ。彼女のようなやり方で、町について調べてみるべきだ、という方向で意見は固まる。
GailとBarbalienは、図書館に町の歴史の本を調べに行くことになり、Dragonflyは、保安官の行方を捜す(実際には彼女が保安官を消したのだが。※第2回『Black Hammer Vol.2 The Event』#10参照)、そしてAbrahamは、Tammyに保安官についてもう一度尋ねに行くことにする。

Lucyが送り込まれた場所のバーでは、ステージにグロテスクなバンドが上がり、演奏を始める。
それを無視して、出口へ向かうLucy。だが、ドアを開けた先は、最初に目覚めた部屋だった。
再びドアを開けて、階段を降り、そして出てきたばかりのバーに戻る。戸惑うLucyを、店主Jamesが迎える。

■#2

「もう沢山よ。これが何であれ、まともな答えを頂戴!」
フロアにハンマーを叩きつけるLucy。パーティーはお開きとなり、クリーチャーとバンドは帰って行く。

「お前さんがここがどこかを知りたがってるのはわかるが、そう簡単に答えられるもんじゃねえんだ。」Lucyに話すJames。
「周りの世界すべては常に動き、形を変え続けている。ここだけが静止した場所、つまり待合所の類というわけだ。」
「待合所?何のための?」
「物語のための、さ。」
「お前さんの格好を見れば、ヒーローの類いのところから来たことはわかる。だがな、ヒーローに悪漢、それが全てじゃない。アナザーサイド、更に暗い側、語られる物語はいくらでもある。」
「お前さんがここから出たいなら、その道は自分で探すしかない。この近辺については少しは明るいんで、助けてやれるがね。」
Jamesが開けた出口は、白い光に満ち、その先は見えない。
「あんたが本当のことを言ってるってなんでわかるの?」
「俺を信じてもらうしかねえなあ。」そして二人はドアを抜ける。

白く光る出口を抜けたところは、大小さまざまな骨が積み重ねられた大地。
「ここは何?」「見りゃあわかるだろう?」
彼らの前には両側を巨大な門衛像に護られた巨大な門。その先には血のような赤い空が広がっている。
「俺はお前さんを地獄に連れてきたのさ。」

『Black Hammer Vol.3 Age of Doom Part One』より 画:Dean Ormston

GailとBarbalienは図書館に向かう。
町の歴史のセクションへ向かう二人。だが、Lucyの話とは異なり、白紙だった本の中身はちゃんと書かれたものだった。
二人は念のため本を持ち帰るため服の中に隠し、図書館を出る。

「地獄ですって?外に出る道を案内してくれるんじゃなかったの?」「誰がそんなこと言った?」
「俺みたいなもんを信じた結果がこれだな。俺はインチキ野郎。誰でもそう言うぜ。」
そしてJamesは、開いた出口から外に出て、それを閉じ、Lucyを一人地獄に残す。

門の隙間を抜け、少し進むと道は行き止まりの崖に終わる。下には一面に広がる燃える海。浮遊する有翼の悪魔が、鎖につなげた籠の中の亡者を、炎の海に浸し苛んでいる。
そこに緑色のボディスーツを着たゾンビと化した男が浮遊しながら近寄ってくる。
「やあ、君みたいなタイプがここに来るのは珍しいね。僕はJack Sabbath。かつては自由戦隊に属していてホースレス・ライダーの相棒だったんだ。」
「よろしく。Black Hammerよ。」
「ここから出なきゃならないのよ。道を知っている?」
「もしあるんなら、僕も知りたいところなんだが…。なんにしても、君にはまずもっと大きな問題があるよ。ここの大抵の連中は、僕ほど生者に友好的じゃないからね。」

Jackのその話に応えるように、炎の海から角を頭に抱く巨大な悪魔が立ち上がってくる。
「我々が拒絶するのは生者ではない、代価を払わずにここに侵入する者だ!」
大悪魔の、ここにどうやって来たとの問いに、Lonnie Jamesに騙されて連れてこられたと答えるLucy。
「奴には貸しがあるからな。お前はその埋め合わせにここに送り込まれたというわけだな、Lucy Weber!」
「あんたは私が誰だか知ってるの?」
「もちろんだ。お前の家族もここにいるぞ。」
そして大悪魔は、籠に閉じ込められ力なくうなだれるLucyの父、Joseph Weberを見せる。

『Black Hammer Vol.3 Age of Doom Part One』より 画:Dean Ormston

最初こそ動揺したLucyだったが、すぐに父が地獄に堕ちるはずなどないと悟る。父に化けていた悪魔は正体を現す。
「まやかしはもう沢山よ!今すぐここから出して!二度とは言わなないわよ!」
ここでお前に何ができると嗤う大悪魔。
「私はBlack Hammerになってすぐにこっちに送られてきて、まだこのハンマーを使う機会もなかった。これで何ができるか見てみましょうか?」

ハンマーを振るうLucy。次々と周囲の悪魔が倒されて行く。積み重なる悪魔の死体。Lucyのハンマーは止まるところを知らない。
「やめろ!」たまりかねた大悪魔は、地獄からの出口を開く。
LucyはJack Sabbathを連れ、その出口を抜けて行く。

図書館の階段に腰かけて話すGailとBarbalien。
GailはBarbalienに、初めてここに来る直前のSherlock Frankensteinとの関係(※第2回『Black Hammer Vol.2 The Event』#2参照)について話す。
これだけ時間が経ってしまえば、彼も別の女性と付き合っているだろう、と寂しげに話すGail。
ゾンビのFrankensteinがそんなにモテるとは思えないがね、とBarbalien。
「彼はゾンビじゃないわ。」
「でもゾンビの類いだろ。」とからかい気味に返すBarbalien。

『Black Hammer Vol.3 Age of Doom Part One』より 画:Dean Ormston

出口を抜けて、LucyとJackが出たところは、シュールレアリズム絵画のような奇妙なオブジェが浮かぶ場所。
「なんなの?ここは?」
「この場所は知っていると思う。でも本当の出口の近くじゃないな。」
いつの間にか現れた、マントを身に着けた人影が彼らに語り掛ける。
「歓迎しよう、夜の旅人よ。ようこそ物語の国へ。」

『Black Hammer Vol.3 Age of Doom Part One』より 画:Dean Ormston

■#3

Tammyのダイナーにやって来たAbraham。
Abrahamは、自分は保安官の失踪に関係ないと説得する。Tammyも過剰に反応し過ぎたと言い、二人の関係は修復に向かう。
その時、窓の外に人影。保安官?
以前とは打って変わり、にこやかな表情で気さくに話しかけてくる保安官。
「しばらく山の方に釣り旅行に出かけていたんだよ。」
そして、「君たちのことは本当に良かったと思っているよ。」と二人の関係を祝福し、去って行く。
あっけにとられるAbrahamとTammy。

『Black Hammer Vol.3 Age of Doom Part One』より 画:Dean Ormston

LucyとJackは、現れた男に彼らの家族との晩餐に招待される。男が指を鳴らすと、彼らは遠くに見えた彼らの居城の中にいた。
男の家族が次々と紹介され、晩餐が始まる。
「これは、何かの幻覚の類いなの?」と問うLucy。向かいに座る女性が答える。
「いいえ、これらすべては現実。なぜなら物語が現実だから。」
「あなたは自分のものでない、他の誰かの物語の中にいるということ。」女性が手をかざした先に、新たなドアが現れる。
「あなたは自分自身の物語に戻らなければならない。」

『Black Hammer Vol.3 Age of Doom Part One』より 画:Dean Ormston

Barbalien-Markは、再度神父の家を訪ねる。
現れた神父に、自分の気持ちを伝えるBarbalien。
自分の気持ちを隠していて愚かだったと、告げる神父。
その場で口づけする二人。

火にかけた魔法の鍋の中にその様子が映し出される。満足げにそれを見つめるMadame Dragonfly。
その背後にColonel Wierdが現れる。
「こんなことは間違っている…Madame…。彼らが望むものを…与えても…避けられない結果を…引き延ばしているだけだ…。」
「それが私たちが、この十年間やって来たこととどこが違うというの、Colonel?」

『Black Hammer Vol.3 Age of Doom Part One』より 画:Dean Ormston

そして新たなドアを抜けるLucyとJack。そこはLucyが最初にいたのと同じように見える、ドアが続く建物の中だった。
「どうやらまた待合所の上に来たみたいね。」
「ここは待合所じゃないよ。待合所はこの中にたった一つだけある場所なんだ。」
手すりから下を見下ろすLucy。同じように見える建物だが、最初に見たものより遥か下まで、ドアの並んだ同様の階層が続いている。
「ここがどこだか分かったと思うわ。」

『Black Hammer Vol.3 Age of Doom Part One』より 画:Dean Ormston

Lucyは手近のドアから開け始める。ここは違う。ここはまた別の物語だ。
「私はもうレポーターではなく、力を持っているんだということを忘れていたわ。」
そしてLucyは柄を下にハンマーを床に突き立てる。ハンマーからプラズマが迸り、それは一つのドアへと導かれて行く。
「ありがとう、父さん。」LucyはJackに一緒に来るかと尋ねる。
「これは君の物語で、僕のじゃない。でも、いつか僕は、君と一緒のチームで闘う日が来るような気がしているよ。」
そしてLucyは、Jackと別れ、そのドアの先に進んで行く。

「つまりあなたは脱出する道を見つけたというわけね。思ったよりずいぶん早かったわ。」
「もう終わりよ、Madame Dragonfly。これ以上の秘密も、謎も。真実の時が来たわ。」
Lucyが開いたドアは、Madame DragonflyとColonel Wierdがいた部屋につながっていた。

『Black Hammer Vol.3 Age of Doom Part One』より 画:Dean Ormston

ここで、ちょっとわかりにくくなってしまったかもしれないので、若干説明。
ここまでのLucyが様々な奇妙な世界をめぐる話は、全てDragonflyの魔法の小屋に閉じ込められていた、ということ。
Dragonflyの魔法の小屋には、多くのドアがあり、そこが様々な世界につながっているというのは、第6話The Cabin of Horrorsで説明されているのだが(※第1回『Black Hammer Vol.1 Secret Origins』#6.The Cabin of Horrors参照)、画像とかもなくて少し分かりにくかったかとも思うので一応。
また、ここでしきりと「物語」というコンセプトが繰り返されるのだが、Jeff Lemireはこの『Black Hammer』において、パラレルワールドといったものの更に上の階層として、メタ的な意味も多く含む「物語」という概念を置いており、後にそれが形として示されるところも出てくるので、この流れもそういった方向で覚えておくとよいかと思うので。

■#4

「全てのごまかし、嘘、こんなものが潰れるのは時間の問題だと思わなかったの?」
LucyはDragonflyとWierdを問い詰める。「あなたたちは彼らの人生を台無しにしたのよ!あなたたちの友人の!」
「これは善悪で割り切れるものではないの。そして友情でも。」
DragonflyはLucyを、魔法のロープで壁に縛り付ける。
「あなたには悪いけど、Lucy、私は罪とともに生きることに慣れている。他のみんなを生かすためなら、あなたを殺すつもりよ!」

保安官のことは不可解だが、Tammyとはめでたく和解したAbraham。
だが、TammyはAbrahamが何かを自分に隠していると感じており、それを問い詰める。
真実を話そう、とヒーロースーツを着てTammyの前に現れたAbrahamだったが…?
まあ、これは爆笑されるよね。

『Black Hammer Vol.3 Age of Doom Part One』より 画:Dean Ormston

Gailは納屋で壊れたTalky-Walkyを修理しようと試みる。
「ZAFRAMの叡智」を使い、くわえ煙草であちこち繋いでみるGail。Talky-Walkyは閃光をあげ、息を吹き返す。
「裏切…ラレタ…」
「しっかりして!Talky!誰に裏切られたの?」
「私タチハ…本当ハ…ココニ…イナイ…裏切…ラレタ…嘘ヨ…」
「何を話しているの?誰が私たちを裏切って、嘘をついたの?」
「Dragonfly…」
そう言うとTalky-Walkyは再び機能を停止する。

Abrahamの告白を完全に冗談だと思い、笑いながら帰って行くTammy。戸惑いながらそれを見送るAbraham。そこにBarbalienがやってくる。
ポーチに座り、ビールを飲む二人。
「他に選択肢がないなら、ここの生活もそう悪くはないのかもしれないな。」
そこに、納屋の屋根を破壊してGailが飛び出してくる。
「あの女!殺してやる!」

『Black Hammer Vol.3 Age of Doom Part One』より 画:Dean Ormston

「Dragonflyよ…。」
「落ち着け、Gail、一体どうしたんだ?」
「全て彼女の仕業だったのよ!Talkyがほんの少しの間だけど、息を吹き返して言った!彼女が私たちを裏切って、嘘をついたと!」
そしてGailは、Dragonflyの小屋へ向かう。戸惑いながら後を追う二人。

あと、今気付いたんだけど、引用した画像のGailが叫んでいる画像に注目。日本でマンガを読んでいる我々としてはスルーしてしまいそうになるんだが、実はこのギザギザというかトゲトゲというのかの形の、日本では叫んでいるときに使われる吹き出しが、アメリカのコミックで同様の形で使われるのはちょっと珍しいはず。アメリカのコミックでは、この形の吹き出しは、電話や通信の相手のセリフを区別するようなときに使われるのが通例。日本のマンガ表現が浸透し、こういう使われ方をするようになった例かもしれないんで、一応チェックしとく。

Dragonflyの小屋。
「父さんも本当の事を見抜いたの?それで彼を殺したの?」縛られて身動きが取れないまま、問うLucy。
「我々は…君のお父さんを殺していない…。彼は君同様…勇敢だった…。彼はここから去ろうとした…我々が…意図したことではなかったんだ…。」
「我々は…やらねばならないとこをやった…。我々は…定められていることを…やった…。ちょうど、次に起こることが…すでに定められているように…。」
「では、次はどうなるというの?私はもう万策尽きてしまっているのよ?」DragonflyはWierdに問いかける。
「次?…Lucyの言う通りなんだ…。次は…真実を話すしか…なくなる…。」

「あの女!ズタズタにしてやる!」飛行しDragonflyの小屋へ向かうGailと追いすがる二人。
「落ち着け、Gail!まず彼女と話して、どうなってるのか見定めなければ!」
「存分に話すといいわ!あたしが半殺しにした後にね!」

「本当にこれで終わりなの?」
「ああ、…彼らもそろそろ…来る頃だ…。」
小屋の外に到着するGail達。
「開けろ!魔女!さもなきゃここをぶち破るわよ!」
「私は、ほっとしているわ。」Dragonflyの目から涙がこぼれる。
「私はこれを維持して行くのに、もう疲れ果ててしまった。」
ドアを破壊し、Gailが入ってくる。

魔法の束縛から解放されるLucy。
「もう充分よ!彼らに話して。本当はここがどこなのかを。」
「わかったわ。私たちがしたことを申し訳なく思ってる…。」Dragonflyが緑色に光り始め、そして世界は白い光の中に消えて行く。
「あなたたちを救うためにしたことを…。」

Gail、Barbalien、Abrahamは、機器につながれたカプセル型ベッドの中で目覚める。
そこはパラゾーンに浮かぶ、Colonel Wierdの宇宙船の中だった。

『Black Hammer Vol.3 Age of Doom Part One』より 画:Dean Ormston

■#5

少し時間を遡り、Lucyがヒーローたちが消えて10年目の記事を書くところから、話は始まる。
その夜、LucyはDr.Edwin Triggsと名乗る人物からの電話を受ける。
「私は君のお父さんの友人だ。私が発見したあるものは、君がぜひ見ておく必要があると思うのだが、Ms.Weber。」
スーダンへ赴いたLucyは、Triggsが発見した墜落したTalky-Walkyの探査機を見せられる。
「これがどこから来たのかは不明だが、Colonel Wierdの宇宙船由来のものであることは明らかだ。」
そして、Triggsはこの探査機が送り出された場所を特定できる人物として、かつてはDoctor Starとしてヒーローチームの一員だった、Dr.Jimmy Robinsonを紹介する。
Robinsonの天文観測所を訪れたLucyは、Robinsonが彼の特殊な望遠鏡のみで観測できるあるものを発見したと告げられる。
望遠鏡をのぞいた彼女が見たものは、宇宙空間に浮かぶ、白く輝く四角い入り口だった。

あれはパラゾーンの入り口だ、とDr.Jimmy Robinsonは話す。
彼はかつてColonel Wierdとともにパラゾーン内で行動したことがあり、その時、彼自身の技術であるコズミック・デバイスが彼をその中で守ったのだという。
そしてLucyは、その技術を用いて作られた宇宙服を纏い、単身パラゾーンに進入する。

『Black Hammer Vol.3 Age of Doom Part One』より 画:Dean Ormston

そしてLucyはパラゾーン内にColonel Wierdの宇宙船と、Madame Dragonflyの小屋が浮かんでいるのを発見する。
宇宙船内に入ったLucyはGail、Barbalien、Abrahamの3人がカプセル内で眠っているのを目にする。
その時、Dragonflyが現れ、Lucyを農場に連れて行き、記憶を消したのだった。
「でも、農場はそもそも存在していなかった。あなたたちはずっとここにいたのよ。」

「あんたはずっと俺達に魔法で幻覚を見せていたのか?」とDragonflyに問うBarbalien。
「いいえ、あれはただの幻覚じゃなかった。小屋につながる様々な世界から、人や物を集めて組み合わせ、そして私はRockwoodを作り上げた。彼らはあの世界の中で生きていて、そして私のコントロールを離れてしまった…。」
ずっと騙され続けていた怒りから、Dragonflyに襲い掛かるGail。
そこでColonel Wierdが話し始める。「これは私の考えだった…。これは事象の仕組みに関わることなのだ…。私は次に何が起きるのかを見た…。これはそうならざるを得ないことだった…。」

Black Hammerが、Anti-Godを打ち倒したとき、世界の均衡が崩れた。
彼が以前より警告されていた、光と闇の力の拮抗によるバランスが崩れたのだ。
Anti-Godが倒されたとき、その代償は我々によって払われなければならなくなった。そのバランスを維持するため、我々も世界から消滅しなければならなくなったのだ。
もし我々が存在し続けるなら、Anti-Godも復活する。

Anti-Godが倒されたとき、同時に発生した衝撃波は、我々をも飲み込み、世界から抹消してしまうことに、私は気付いた。
私はその瞬間に思いつく、唯一の行動をとった。全員を安全なパラゾーン内にある、私の船へとテレポートで運ぶことだ。急速な宇宙空間の移動のショックで、Madame Dragonfly以外の全員が意識を失っていた。
我々は即座に行動しなければならなかった。もし君たちが目覚めれば、Anti-Godの復活の危険を冒し帰還するか、ここに永遠に留まり続けるかのジレンマに直面してしまう…。

『Black Hammer Vol.3 Age of Doom Part One』より 画:Dean Ormston

Dragonflyが話を引き継ぐ。
「そしてColonelが、あなたたちを睡眠装置に入れ、私がこれまででも最高に入り組み、強力な魔法を組み上げた。これは単なる夢ではなく、私たちの意識にもう一つの現実を構築するようなもの。」
「私は考えうる限り最も中立的な設定でこれを作った。もしここに永遠に留まらなければならないなら、誰もが幸せになれるよう望んだ。」
「でもRockwoodは、時がたつにつれ私自身がコントロールするのがどんどん難しくなっていった。その住人たちがどんどん自身の自我を強くして行ったから。」
「そしてLucyが現れたとき、私は完全にコントロールを失った。それが運命だったのでしょうね…。」

「お父さんはどうして死んだの?」Lucyが問う。
「彼は強すぎた…。我々が気付かないうちに、半ば目覚めてそのまま船から出てしまった…。」
「パラゾーンが…彼を殺したのだ…。」

『Black Hammer Vol.3 Age of Doom Part One』より 画:Dean Ormston

「こんなことは信じられない。全部嘘だ。」Abrahamは言う。
「Tammyと農場…、それが俺の求める全てだ。Dragonfly、俺をあそこに戻してくれ!」
「ごめんなさい、でも私に残った力では、もう一度あれを作ることはできない…。」

「こんな奴らの話はもう何一つ信じられないわ!こいつらを殺して、とっとと地球に戻るだけよ!」Colonel Wierdに掴みかかるGail。
「君にそんなことはできない…。なぜなら私は、この船を操縦し、…パラゾーンから出せる…唯一の人間だからだ…。」
驚愕するDragonfly。「それはどういう意味?あなた何をやったの?」
「やるべきことをだ…。私は構造を見た…。次に何が来るのかを見た…。」

私は君たちが目覚める前に、船をパラゾーンから出るコースでセットした。
間もなく出口に到着する頃だろう。

そして宇宙船はパラゾーンの出口に至り、全ては白光に包まれる…。

『Black Hammer Vol.3 Age of Doom Part One』より 画:Dean Ormston

驚愕の真相!そして船は既にパラゾーンから地球への帰途に?彼らは無事地球に戻ることができるのか?
第4回、『Black Hammer Vol.4 Age of Doom Part Two』へ続く。次回第4巻で、Black Hammerはひとまず第1部終了という感じになります。

Black Hammer

■Black Hammer: Streets of Spiral

■Black Hammer/Justice League: Hammer of Justice!

‘Cat Eat Cat’はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました